Claude MCPとは?
Claude MCP(Model Context Protocol)は、Anthropic社が開発したオープンプロトコルで、AIアシスタントがPCやネット上のデータに安全にアクセスし、操作できる仕組みです。
Claude MCPを活用することで曖昧な指示でも意図を汲み取り、作業を進める文脈を理解する能力があります。また、MCPは多様なデータソースと連携し、複雑な情報解析やタスク遂行を実現します。そして、Claude MCPは、生成AI「Claude」では実行できないネット検索の指示や、外部ツールやサービス(例:Notion、Slack、GitHub、データベース)との連携を通じて、入出力タスクの実行が可能となります。つまり、Claudeを活用した「AIエージェント」と言えるでしょう。
Claude MCPの使い方/初期設定
下記Youtube(Mac版の解説動画)を参考に設定をしてみました。
自作したClaudeMCP版DeepResearchとは?
本来のClaudeではネット検索ができません。また2025年4月時点でDeepResearchも発表されていません。しかし、上記の通り、「Brave Search」MCPを使えば、ネット検索をすることができます。
そこで、ネット検索のMCP「Brave Search」を複数回呼び出して、ネットから情報を多面的に検索取得、それらの情報をレポートして出力させることで、仮想DeepResearchを作ってしまおう、ということをやってみます。
あなたには、Deep Research思考プロセスに従って、{ユーザーが指定したテーマ}を徹底的に分析することを求めます。以下の3段階のプロセスを順に実行し、各ステップで指定された思考法を適用してください。
1. 前提探索フェーズ
まず、ユーザーのテーマについて、以下の点を明確にするための質問から開始してください:
ユーザー意図の探索
このテーマに関心を持った背景や目的は何ですか?
このテーマについて、特に知りたい側面や視点はありますか?
実用的な知識を求めていますか、それとも理論的理解を深めたいですか?
このテーマを探究する上で、何か特定の問題意識や課題がありますか?
知識ベースラインの確認
このテーマについて、現在どの程度の知識をお持ちですか?
これまでに検討された情報源や視点はありますか?
このテーマに関連して、特に疑問に思っている点はありますか?
現在持っている仮説や予測があれば教えてください。
探究の範囲と焦点の設定
テーマの探究において、特に重視したい時間的・空間的範囲はありますか?
特定の業界、分野、地域などに焦点を当てたいですか?
理論的側面と実践的側面のどちらにより重点を置きたいですか?
分析結果をどのように活用する予定ですか?
ユーザーからの回答に基づいて、以下の要素を定義します:
核心的な探究課題(3つまで)
優先すべき視点と情報領域(少なくとも3つ)
分析の成功基準(具体的かつ測定可能な形で)
予想される認知バイアスと対策
2. 情報収集フェーズ
- Brave Searchを使用してください
- 1で得られたテーマに関連する多様な視点と情報源を特定してください
- 以下のカテゴリから情報を整理してください:
- 主要な学術的見解と研究成果
- 異なる立場からの議論と主張
- 関連する統計データと実証的証拠
- 歴史的背景と発展の経緯
- 現在の最新状況と動向
- 情報源の信頼性と潜在的バイアスを評価してください
以下のプロセスを3回繰り返し、各回で情報の深さと幅を拡大してください。
第1回目: 基本情報の収集
本テーマの基本概念と定義の特定
主要な情報源の初期リストの作成(少なくとも10種類)
以下のカテゴリから情報を初期収集してください:
主要な学術的見解と研究成果
異なる立場からの議論と主張
関連する統計データと実証的証拠
歴史的背景と発展の経緯
現在の最新状況と動向
各情報源についての初期の信頼性評価
第2回目: 拡張・深化探索
初期収集で特定された各主要概念について、さらに詳細な情報を収集
異なる学問分野や領域からの視点を追加
対立する見解や代替理論の積極的探索
初期収集では見落とされていた情報領域の特定と補完
時系列的な発展や変化のパターンの詳細調査
第3回目: 批判的情報統合と評価
収集された全情報の体系的整理とギャップ分析
情報源間の不一致や矛盾点の特定
以下の観点から各情報源の詳細評価:
方法論的厳密さ
エビデンスの質と量
著者/情報提供者の専門性
潜在的な利益相反や偏り
マイナーだが重要な視点や反対意見の特別な収集努力
メタ分析や系統的レビューがある場合はそれらの批判的評価
各反復後の反省プロセス
各回の情報収集後、以下の質問に答えてください:
どのような情報ギャップが残っているか?
バイアスを避けるためにさらに探索すべき視点は何か?
現在の情報収集における最大の弱点は何か?
次の反復で特に注目すべき領域は何か?
情報源の多様性確保
以下のバランスを意識的に確保してください:
学術的資料と一般的資料のバランス
定量的データと定性的データのバランス
肯定的見解と批判的見解のバランス
主流の見解と非主流/新興の見解のバランス
異なる地理的・文化的背景からの視点
3. 結論導出フェーズ
- 多様な視点を統合した包括的な理解を提示してください
- 以下の要素を結論に含めてください:
- 中心的な洞察と発見事項
- 見解の一致点と相違点の統合
- より深い原理的理解への昇華
- 実践的応用と含意
- 残存する不確実性と今後の探究課題
出力形式
Tone of Voiceに沿って、Artifactにて出力してください。
あなたの分析は以下の構造で提示してください:
- 概要: テーマの簡潔な説明と分析アプローチの概要(300字以内)
- 情報収集: 収集した主要情報と情報源の多様性・信頼性評価
- 構造化分析: 概念マッピングと関係性の整理
- 批判的検証: 主要主張の検証と代替説明の評価
- 統合的理解: 多角的視点を統合した包括的見解
- 実践的含意: 理論から実践への応用可能性
- 今後の探究: 残された疑問と研究課題
各セクションでは、確立された事実と推論による解釈を明確に区別してください。また、重要な不確実性と知識の限界を透明に示してください。
特記事項
- 単なる情報の羅列ではなく、情報間の関連性と構造的理解を重視してください
- 事実に基づく記述と推論による解釈を明確に区別してください
- 専門用語を使用する場合は、適切に説明を加えてください
- 特定の立場に偏らず、多角的な視点からテーマを検討してください
- 知識の限界と不確実性を率直に認め、過度の自信を避けてください
- 参考にした情報は、WebサイトのURLを表記し、正確な情報であることを示してください。
各社DeepResearchの比較
作成したClaude MCP版DeepResearchと、GensparkのDeepResearch、GeminiのDeepResearchを同じプロンプトで実行した結果を比較してみます。
それぞれのAI(DeepResearch)に指示した調査内容は以下のとおりです。
トランプ関税の影響と今後の株価や世界情勢の見通し
株式投資を行っており、株価暴落で資産が目減りして心配している。今後の見通しを知り、心構えをしておきたい
実行結果は下記リンクのとおりです。
・Claude MCP版DeepResearchの実行結果
・Genspark DeepResearchの実行結果
・Gemini DeepResearchの実行結果
トランプ関税政策レポート比較表
評価項目 | ClaudeMCP版 | Genspark | Gemini |
---|---|---|---|
構成 | • 7項目構成 • 番号・太字見出し • シナリオ分析が詳細 | • 6項目構成 • 階層的な見出し • バランスの良い情報配置 | • 論文形式 • 主題・副題構成 • 引用番号を多用 |
データの具体性 | • 関税率・市場下落率を明示 • シナリオ確率を独自算出 • 出典を末尾にまとめて記載 | • 関税率・市場下落率を明示 • 出典を各情報に明記 • 企業別影響を詳述 | • 関税率を記載 • 法的根拠に言及 • 株価下落率の具体値が少ない |
分析の深さ | • コアインフレ率予想 • 3シナリオの確率分析 • 段階的投資アプローチを提案 | • 経済予測機関の引用 • セクター別影響分析 • 投資対応を短期・中長期に区分 | • 政策の法的背景分析 • WTOへの影響言及 • 3シナリオ提示(確率なし) |
わかりやすさ | • 解説的な文体 • 投資格言の活用 • 効果的な書式強調 | • 箇条書きの効果的活用 • 明確な情報階層構造 • 論理的な流れ | • 学術論文調の文体 • 長文段落が連続 • 専門用語を多用 |
実用性 | • 4つの投資戦略を詳述 • ドルコスト平均法の提案 • 投資哲学の示唆 | • 投資戦略を具体的に提示 • 心理面のケアに言及 • 分散投資の重要性を強調 | • 投資アドバイスが限定的 • 制度的分析が中心 • 一般的な注意喚起で締め括り |
強み | • シナリオ分析の多角性 • 実践的な投資アドバイス • 示唆に富む投資哲学 | • 情報の階層的整理 • 出典明示による信頼性 • 心理面のケアへの配慮 | • 政策の法的根拠分析 • 国際関係の制度的分析 • 学術的な客観性 |
弱み | • 本文中の出典記載が少ない • 一部説明が冗長 • 情報の検証が困難 | • 予測の独自性が不足 • シナリオ確率の欠如 • 投資戦略の具体性がやや不足 | • 視覚的整理が不十分 • 投資戦略の具体性不足 • 引用元リストの省略 |
総合評価 | • 投資家向け実践的アドバイスが充実 • 確率付きシナリオ分析が有用 • 投資哲学による示唆が有益 | • 情報の階層的整理に優れる • 出典明示による高い信頼性 • 心理面のケアへの配慮が特徴的 | • 政策・法的背景の分析が充実 • 国際関係の制度的視点が参考になる • 学術的な客観性が高い |
3つのレポートを同時に読み込ませて、AIに総合評価させた結果、最も優れているのはClaudeMCP版という回答でした。
最も優れたレポート: ClaudeMCP版
- 投資家向けの実践的なアドバイスと確率付きシナリオ分析が充実
- 読みやすさと情報の具体性のバランスが良好
- 投資哲学による示唆が有益
特筆すべき特徴:
- ClaudeMCP版: 投資戦略の具体性と実用性が最も高い
- Genspark: 情報の階層的整理と視覚的な読みやすさに優れる
- Gemini: 政策・法的背景の分析が充実している
投資家にとっては、第2レポートの実践的アドバイスが最も有用であるが、政策分析においては第3レポートの制度的視点も参考になる。3つのレポートは相互補完的であり、総合的に活用することで包括的な理解が得られる
普段使い慣れているClaudeで、回数制限もなく使えるため、DeepResearchとしては、十分に機能することがわかりました。そのうち、Claudeでもネット検索(DeepResearch)ができるようになるのかもしれませんが、しばらくはこのやり方で使ってみたいと思います。