最近、周りでAIツールの話をよく耳にしませんか?
「AIがすごい」とは聞くけれど、うまく使いこなせていない人は、実際にどのツールを、どのシーンで、どう使えばいいのかわからない…そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
初期のChatGPTには困惑してた人、多数・・・
2022年11月末にChatGPTが一般に使えるようになり、多くの人がChatGPTを触ったことでしょう。
しかし、当時、触った感触として、「あれ?たしかにすごいけど、、、思うように回答されないぞ?これじゃ、仕事に使えないな」と困惑された方も多いことでしょう。私もその一人でした。
この時期を、(一般に普及した生成AIの)第一形態と呼ぶことにしましょう・・・
第一形態で流行った?ことは、「いかに上手なプロンプトで指示を出せるか」といったプロンプトエンジニアリング、というテクニックが必要になったことです。chatGPTは、万能型の生成AIですので、プロンプトの指示次第で、いかようにも使いこなせたのですが、プロンプトが書けない人にはイマイチな結果しか回答されない、という感想を持たれた方が多かったのでした。
そのため、プロンプトがうまく書けない人へプロンプトを教えるような人、プロンプトの書き方、といったSNS投稿をよく見かけた時期でした。
タスク別AI搭載ツールの登場 ※現在
現在は、第二形態と表現したいと思います。
第一形態から進化した理由は、ChatGPTのバージョンアップがあって、拙いプロンプトであっても回答の精度が上がっただけではなく、タスク別に使えるAI搭載ツールがいろいろと登場したためです。いかにchatGPTのプロンプトを上手に扱えるか、ではなく、これらのツールをうまく組み合わせて活用すれば、目的の成果物を作ることができる。そんな時期が、現在の第二形態、となります。
そこで、今回は、第二形態の2024年9月現在で、デスクワークを効率化するステップごとのおすすめAIをご紹介します。このなかから1つでも使っていただけるAIツールがあれば、仕事の生産性をグッと上げられるはずです!
では、デスクワークを例に、具体的なステップの説明に入っていきます。
ステップ1:アイデアの発想と拡張
まず最初は、アイデアの発想と拡張です。
どんな仕事でも、良いアイデアは成功の鍵。でも、アイデア出しって結構大変ですよね。そんなとき、ChatGPTやClaudeといった万能型のAI対話ツールが強い味方になります。
例えば、新しい商品企画を考えるとき。「健康志向の20代女性向けの新商品のアイデアを5つ挙げて」とAIに尋ねてみましょう。すると、AIはあっという間にいくつものアイデアを提示してくれます。それを見て「おっ、これいいな」と思ったら、さらに「その商品の具体的な特徴を3つ挙げて」と質問。どんどんアイデアを膨らませていけるんです。
ポイントは、AIを使ってアイデアの数を増やすこと。質より量で勝負です。たくさんのアイデアの中から、人間の直感で良いものを選び、さらに発展させていく。そうすることで、今までにない斬新なアイデアが生まれる可能性が高まります。
ステップ2:効率的なデータ収集とインプット
アイデアができたら、次は裏付けとなるデータを集めます。ここでも、AIツールが大活躍します。
検索AI : 「調べる」を超・効率化
まず、すべての人にイチオシなのは、AI検索エンジンのperplexityやGensparkです。
私は、ネット検索するのに、「ググる」をやめました。それくらいのインパクトがあるツールです。
「ググる」場合、キーワードを検索すると、たくさんの記事や関連する広告がたくさん表示されることになります。私たちはその中から自分が探している情報にたどり着くために、いくつものサイトを行き来しなければなりません。
しかし、perplexityやGensparkはその手間を省き、いきなり私たちが求めているであろう答えを表示してくれます。そして、その情報がどこのサイトから取得したのか、サイトへリンクすることもできます。
また、スマホアプリで検索する場合には、Arc Searchが使いやすいと感じています。
(※残念ながら、Android版がなく、iOS版 – iPhone用しかないようです。)
画像左はGoogle検索の結果、画像右がArcでの検索結果です。
Google検索ですと、いきなり広告が出てきてしまったのと、サイトを横断して回答を探す手間が必要になりますが、Arcでは、結果の画面をスライドしていくだけで次から次へと関連する回答が表示されていきます。これは新しい検索体験です。
いずれも無料で活用できますので、使ってみてください。
自社データなど信頼できるデータをAIで呼び出す
chatGPTなどの生成AIでは、一般的な情報からユーザーが求める回答を作り上げていくため、精度は、より一般的な回答になります。
Googleが提供するNotebookLMは、自分の信頼のおけるデータを保存し、その中からAIが必要な情報を取得して回答してくれるオリジナルチャットボットのようなツールとなっています。
また、AIでは「ハルシネーション」と呼ばれる、AIが作り出した嘘の情報が含まれる場合がありますが、NotebookLMから得られる情報は、ご自身で入れた情報の中からだけ回答されるため、嘘が作り出される心配がありません。また、この保存するデータは、AI学習には使用されないとの明記もあるため、企業の情報も保存して活用することができます。
現在、無料で扱えます。
特定のWebサイトやYoutube動画から情報を取得する
特定のYoutube動画や、Webサイトから情報を得たいときは、「YouTube Summary with ChatGPT & Claude」というChrome拡張機能がとても便利です。
Youtuberさんには悪いですが、、、長い動画の内容をわずか数秒で、文字情報として取得できてしまいます。
会話データを活用する
ご自身のビジネスの現場にあるデータを活かすには、打ち合わせなどの録音を文字起こしできると便利でしょう。Gladiaやnottaのようなツールを使ってみてください。
私はnottaの有料プランを使用しており、面談の場面では、スマホアプリで録音して、文字起こしされたデータをPCで取得、要約して、議事録・報告書に活用しています。もちろんWeb会議での録音や多言語もお手の物です。
ステップ3:AIを活用したコンテンツ作成
データが集まったら、次は目的に応じた形に整理します。
ここでもChatGPTやClaudeのような万能型の生成AIが活躍します。
例えば、集めた情報を「要約して」「アウトラインをまとめて」のように指示したり、「初心者向けにわかりやすく説明し」と指示をすれば、AIはあっという間に整理された文章を作成してくれます。
ポイントは、AIに対する指示の出し方(プロンプト)です。「〇〇向けに」「〇〇の観点から」「◯◯は使わないで」「◯◯の形式で」など、具体的な指示を出すことで、より目的に合った内容が得られます。
また、この段階で、キーメッセージを強調したり、読み手を惹きつける導入部を作っておきましょう。AIの力を借りつつ、人間ならではの感性を活かすことで、より魅力的なコンテンツが作れるはずです。
ステップ4:インパクトあるビジュアルの作成
その文字情報に見合ったビジュアル要素もAIが作り出すことができます。
ここで活躍するのが、NapkinAIやCanvaのような図解作成ツールが、複雑な概念や手順を、簡単な図や図解に変換してくれます。
この記事にある図解は、NapkinAIを使って作成しました。
できた図解をベースに、人間が修正していくことで、より意図したクオリティの高いビジュアルが作れます。
ステップ5:多様なアウトプットに活用
ここまで作ってきたコンテンツを、様々な成果物に変換をして、出力していきます。
ここでも目的に応じたAIツールを使うことで、あっという間に資料が作れます。
プレゼン資料
プレゼン資料のオススメAIツールは「Gamma」です。
例えば、Gammaを使えばスライドのデザインや構成を自動で最適化してくれます。「プレゼン用に10枚のスライド」と指定するだけで、見栄えの良いスライドが完成します。
5-10分程度の説明資料ならば、Gammaの自動作成だけで済んでしまうレベルです。(さすがに1時間セミナーの資料となると、手直しが必要になってきますが・・・)
ショート動画
動画作成ならNoLangが便利です。テキストを入力するだけで、ナレーション付きの動画があっという間に出来上がります。
Kn1ghtでは、アバターと呼ばれるキャラクターが、作成した台本を読み上げてくれる動画が、あっという間にできてしまいます。
その他ビジネス文書
それ以外にも、デスクワーク用AIツールは、どんどんよいサービスが登場してくると思われます。
ポイントは、それぞれの形式の特徴を理解すること。プレゼンならインパクトのある視覚表現を、動画なら時間の流れを意識した構成と台本を、といった具合です。AIの出力をそのまま使うのではなく、各形式の特徴を踏まえて人間が調整を加えることで、より効果的なコンテンツになります。
それらAIツールを使いこなして、生成したコンテンツがYoutube動画の台本になったり、図解も含まれたブログ記事になったり、形を変えてSNSになったり、また、ビジネスの現場で多い議事録や報告書なども作れるでしょう。
自分仕様のカスタマイズAIパッケージが一般化する!?
これからは、「自分仕様のカスタマイズAIパッケージ」が簡単に作れる、という状態が一般化されるかもしれません。
例えば、Kintoneのように小〜中規模のカスタマイズができるツールだと認識していますが、私が言いたいは、その更に小さい、自分仕様のタスク単位で必要な活用に合わせて、AIツールを組み合わせた自動化パッケージが作れるようになる、ということが考えられます。
実際、私は、WordPressブログの自動投稿を1つのパッケージとして、作成をしました。しかし、プログラミングが多少必要であったことから、もっと多くの人が使うには、ノーコードで使えるツールが必要になるでしょう。
ツールとしては、Difyやmakeなどがその候補だと思います。
もうすでに存在しているので、一般化するのはまもなくかもしれません。。。
AIと人間の協働
これらのステップを意識しながらAIツールを活用することで、今までの何倍もの速さで、質の高い仕事ができるようになるはずです。
人間によるチェックやブラッシュアップ
AIが生成したコンテンツは、確かに効率的ですが、集めたデータは必ずチェックをしてください。
AIが間違った情報を拾ってくること(=ハルシネーション)もあるので、必ず人間の目でチェックし、必要に応じて修正、最終的な判断は人間がすることが大切です。
例えば、事実関係の確認や、企業の方針との整合性のチェックなどは、人間にしかできない重要な作業です。また、ちょっとしたユーモアや、読み手の心に響くような表現を加えるのも人間の役割。AIの効率性と人間の創造性を組み合わせることで、より質の高いコンテンツが作れるんです。
AIはツールである
「AIに仕事を奪われるんじゃないか」なんて心配する必要はありません。大切なのは、AIと上手に協力して、人間にしかできない創造的な仕事に集中すること。
ただし、忘れてはいけないのは、AIはあくまでもツールだということ。使いこなすのは私たち人間です。AIにできることはAIに任せ、人間にしかできない創造的な仕事に集中する。そんな働き方が、これからのビジネスパーソンには求められているのではないでしょうか。
AIツールは日々進化しています。
今回紹介したツールも、新しいサービスに置き換わっていくことでしょう。でも、AIを活用する基本的な考え方は変わりません。この記事で紹介したステップを意識しながら、新しいツール活用にチャレンジしてみてください。