2024年1月、ついにアメリカでビットコインETF(上場投資信託)が承認され、ビットコインへの注目が世界的に高まっています。そして、トランプ新大統領は、アメリカの準備金として、100万ビットコインを購入する、との発言もあり、ビットコインの価格は過去最高の100,000ドルを超えました。
さて、そんなビットコインですが、「仮想通貨って何?」「投資して大丈夫なの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回は、ビットコインの基礎知識から最新動向まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
ビットコインとは?
ビットコインは2009年にサトシ・ナカモトという人物によって生み出された、世界初の分散型デジタル通貨です。
日本でもおなじみのSuicaや楽天ポイントなども広い意味でのデジタル通貨ですが、ビットコインには大きな違いがあります。デジタル通貨の例として、楽天ポイントは1ポイント=1円と決められていますが、その発行条件は楽天が決定権を持っています。また、万が一、楽天が倒産した場合、ポイントは無効になってしまいます。
一方、ビットコインはブロックチェーン技術によって取引が記録され、どこかの国や企業のルールに依存することなく、透明性と安全性が確保されています。中央銀行や政府の管理を受けず、インターネット上でユーザー同士が直接取引できる仕組みを持っているという点が大きく異なります。
お金の歴史とビットコイン
お金の本質を理解するには、「お金とは何か?」という根本的な問いから考える必要があります。
人類は最初、物々交換から始まり、貝殻や貴金属を経て、貨幣や紙幣を使うようになりました。
しかし、貝殻や石、政府が発行する紙幣自体に特別な価値があるわけではありません。(現代の1万円札を発行するのに必要なコストは、20円くらいと言われています)
なぜ1万円札は紙切れ以上の価値を持つのでしょうか。貨幣を使用する人たちに共通しているのは、人々が貝殻や石で商品やサービスとの交換できる「共通の合意」や「信仰」によって価値が担保されています。日本円も、日本という国と政府に対する信頼に支えられて、他国の法定通貨と対等に交換ができるように、社会全体で取引の媒体としての価値が認められているのです。
そして現代では、貨幣や紙幣のような現金ではないデジタル通貨(クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など)の取引が当たり前になっています。
さらに今、私たちは「デジタル時代における新しい価値の形」としてのビットコインを目にしています。ビットコインもまた、人々の信用と合意に基づいて価値を持つ、新しい形のお金なのです。
なぜ「デジタルゴールド」と呼ばれる?
ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれることがありますが、それには理由があります。
金(ゴールド)との共通点を見ていきましょう。
まず、「希少性」です。金は地球上に存在する量が限られていますが、ビットコインも同様に発行総数2100万BTCと厳密に定められています。
また、金の採掘と同じように、ビットコインも「マイニング(採掘)」というプロセスで新規発行されます。
さらに、金もビットコインも、中央銀行や政府の管理下にない独立した価値保存手段として機能します。この特徴は、経済的な不確実性や政治的リスクに対する防衛手段として注目されています。
ただし、金との重要な違いもあります。
金は物理的な制約から細かい分割や運搬が困難ですが、ビットコインは8桁の小数点まで分割可能で、インターネットを通じて瞬時に世界中どこへでも送ることができます。
世界の最新動向
かつて「怪しい」「投機的な」デジタル資産と見なされることもあったビットコインですが、現在では世界有数の金融機関や政府機関から正式に認められつつあります。
2024年1月には、米国でビットコインETFが承認され、従来の株式市場と同じように、一般投資家が安全かつ簡単にビットコインに投資できるようになりました。BlackRockやフィデリティ、JPモルガンといった伝統的な金融機関も、ビットコインを重要な投資資産として位置づけています。
そして、トランプ次期大統領が「国家的なビットコイン準備金」の設立を検討。5年間で100万ビットコインの購入を目指しているとのことです。
企業の動きも活発です。テスラやマイクロストラテジー、スクエアといった上場企業が、自社の資産の一部をビットコインで保有しています。特にマイクロストラテジーは2024年12月9日時点で合計423,650BTC(約423億6,000万ドル)のビットコインを保有し、これを重要な資産として計上しています。
各国の規制整備も進んでいます。日本では2017年に資金決済法を改正し、暗号資産(仮想通貨)を法律で定義しました。アメリカではSEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)による監督体制が確立され、EUでもMiCA(暗号資産市場規制)による包括的な規制フレームワークが構築されています。
決済インフラの整備も進んでおり、Visaやマスターカードといった大手決済企業が、ビットコインの決済サービスを提供し始めています。セキュリティ面でも、2009年の稼働開始以来、ビットコインのネットワークは一度も重大な侵害を受けていないという実績があります。
これからの展望
ビットコインは現代の資産運用において、重要な選択肢の一つとなっています。
株式や債券、不動産といった従来の資産との相関が比較的低いため、ポートフォリオの分散効果が期待できます。多くの機関投資家は、ポートフォリオ全体の1-5%程度をビットコインに配分することを推奨しています。
また、発行総数が固定されているビットコインは、インフレーションに対する防衛手段としても注目されています。価格は短期的に大きく変動することがありますが、4年周期で見ると、長期的な上昇トレンドを示しています。2024年12月現在、1BTC=10万ドルを超えたことで、暗号資産全体に大きな注目がされています。
米国でビットコインETFは、日本国内からは購入できないものの、日本から簡単にビットコインへの投資が可能になっています。特に、メルカリビットコインや楽天ポイントビットコインなど、ポイントをビットコインに振り分けることもできます。
ビットコインは、決済手段(通貨)という認識ではありません。また、投機寄りの投資と言われがちですが、特に、アメリカの準備金、米国証券取引所のETFなど資産としての位置づけを担保された状態であるため、現代の資産運用において検討すべき重要な選択肢の一つとなっています。
特に、長期的な資産形成を考える世代にとって、従来の金融資産と併せて保有を検討する価値のある資産だと考えられます。