AIツール導入の実践ガイド:データ収集⇒データ整理⇒データ活用の3ステップ

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多くの企業がAIツールの導入に興味を持っていますが、「具体的に何から始めればいいのか分からない」という声も多く聞かれます。この記事では、経営者の皆様に向けて、AIツールを活用したデータ活用の基本的な考え方から実践的な活用方法までを、分かりやすくご説明します。

データ活用の3つのステップ

データ活用は、収集(入力)して、整理・加工して、活用(出力)する3つのステップで考えることができます。まずは、その3ステップを説明します。

1.データを集める(入力)

データ活用の第一歩は、必要な情報を集めることです。たとえば、毎日の売上データを手書きのノートからパソコンに入力する作業が、これにあたります。最近では、手入力だけでなく、スマートフォンで撮影した写真や、会議での会話を自動的に文字に変換する方法など、様々な方法でデータを集められるようになっています。

2.データを整理する(加工)

集めたデータは、そのままでは使いづらいものです。例えば、売上データと在庫データが別々の表で管理されていたり、お客様の情報が担当者ごとに違う形式で記録されていたりすることがあります。このような場合、データを使いやすい形に整理する必要があります。パッケージソフトやクラウドサービスを導入しているケースもありますし、kintoneやNotionのように簡易で整理できるツールを使用して、効率的に行えるようになっています。

3.データを活用する(出力)

データを活用した報告資料やプレゼン資料の作成のように、整理されたデータを経営に役立つ情報として出力します。例えば、売上の推移をグラフにして傾向を把握したり、お客様の購買パターンを分析して効果的な販促計画を立てたりすることができます。

今すぐ始められるAIツールの具体的な活用法

それでは、上記3つのステップごとに、適切なAIを当てはめて紹介していきます。

1. データを集める(入力)

文書・音声データの取得

  • 音声認識による文字起こし:会議の内容を自動的にテキスト化し、議事録作成の基礎データとして活用できます。最新の音声認識AIでは、複数話者の識別や専門用語の認識精度も向上しているだけでなく、同時翻訳なども可能となっています。
    私は、notta というサービスを使用したり、iPhone/Macのボイスメモを使用しています。
  • 画像からのテキスト抽出:紙の資料や名刺をスキャンし、OCR技術で自動的にデジタルデータ化。近年のOCR技術は高性能になっており、識字率が高まっています。スマートフォンでもスキャンアプリこれにより、手動による入力作業を大きく削減できます。
    また、ChatGPTやClaudeなどの生成AIに直接添付することで、テキスト抽出することも可能です。
  • Web情報の収集:DeepResearchと呼ばれる高性能AI検索モデル(ChatGPTやGemini)、PerplexityGensparkFeloなどの検索AIを使用することで、検索やまとめる手間が省け、市場動向や競合情報を気軽に集めることができます。
    さらに、それらネットで調べた記事を保存するブックマーク機能だけでなく、その記事の内容(テキスト)そのものを保存することも可能となっています。私は、Save to NotionYoutube Summary with ChatGPT & Claudeなどを使用しています。

顧客データの収集

  • チャットボットによるデータ収集:アンケートや問い合わせフォームと比較して、顧客との対話を通じて必要な情報を自然な形で収集できます。AIチャットボットに対話させることで、顧客対応コストを下げ、情報収集の手間を省くことができます。
  • ソーシャルメディア上のナマの声を収集:SNS上の顧客の声をAIが収集できるようになっています。
  • IoTセンサーとの連携:カメラやセンサーなどの機器を設置し、自動的に店舗内の顧客動線や製品の使用状況をリアルタイムで自動収集します。人手では不可能な精度と頻度でデータを取得できます。

2. データを整理する(加工)

AIにデータを整理させる第2ステップは、大変な省力化が可能となっています。第1ステップで集めたデータを入れておくだけでOKなのです。

例えば、Google社が提供するnotebookLMNotionなどに形式を整えることなく、そのまま入れておけばOKです。人間の場合、きちんとデータを整理整頓して、見た目も整えて、フォルダ管理などもしておかなければなりませんが、AIにはその手間は不要で、勝手に判断してくれます。

3. データを活用する(出力)

文書作成の効率化

会議の議事録や報告書の作成には、多くの時間が費やされています。AIを活用することで、以下のような効率化が可能です。
まず第1ステップであつめた音声からの議事録や報告書作成は、私もよく使用しています。会議の内容を自動的にテキスト化し、議事録のベースを作成できます。長文の報告書やメールを、要点を押さえた簡潔な文章に自動的に要約できます。重要なポイントを見落とすことなく、効率的な情報共有が可能になります。自分で一からメモしてまとめるよりも、圧倒的な時短が可能です。

音声データ(文字起こし)があれば、会話分析にもAIが活躍します。この会議は有効だったのか、会話の特徴や、話者への適切なアドバイス、などもコンサルタントやカウンセラーさながらの役もお手の物です。

一方で、AIの弱点もあります。AIではデータの傾向を抑えることはできますが、正確性に欠けることがある点です。そのため、正確なデータを使用しなければならない文書(例:請求書など)には、専用のシステム・サービスを使用することが好ましいでしょう。

データ分析の自動化

日々蓄積されるビジネスデータを、AIを使って効率的に分析できます。

過去の売上データを入れておけば、売上データの将来予測も可能です。季節変動や特定のイベントの影響なども考慮した、精度の高い予測が可能です。

マーケティング分析も可能です。分析サービスを利用している場合であっても、定型のデータ表示、グラフ表示だけに限らない傾向を見つけることができ、Webコンサルタントとしてのアドバイスを受けることができます。

ただし、すでに専用システムを導入している企業の場合には、十分な分析機能が提供されている場合には、AIはサブ的にしようすることがよく、

カスタマーサポートの強化

顧客対応の品質向上と効率化にも、AIツールが活用できます。

よくある問い合わせに対して、24時間自動で回答できるAIチャットボットシステムを構築できます。導入している企業も増えてきています。今後、VIP顧客は人間が対応し、一般顧客はAIにまかせてコストを掛けずに済ませてしまおう、という動きも想定できるでしょう。問い合わせ、チャット、電話履歴など、顧客からの問い合わせ内容を自動的に分類し、傾向を分析することもできます。よくある質問や課題を把握し、製品やサービスの改善につなげられます。

過去の対応事例をAIが学習し、最適な回答例を提案することで、経験の浅いスタッフの教育役として活用することもできます。

まとめ:効果的なAI活用に向けて

本記事では、AIツール活用の基本となる「入力」「加工」「出力」の3ステップフレームワークを提示しました。

入力段階ではデータ収集を効率化し、加工段階ではAIによるデータクレンジングが不要になる点、出力段階では予測モデルやレポート自動生成によって意思決定の質と速度を向上、顧客サービスの向上が可能です。

重要なのは「AIありき」ではなく、自社の課題やニーズを明確にした上で適切なツールを選択することです。中小企業でも、段階的な導入アプローチによって初期投資を抑えながら効果を実感できます。まずは日々の業務で発生している課題を特定し、その解決に最適なAIツールを選択することから始めてください。

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