AIは「入れるかどうか」を決める段階を過ぎている

「うちもそろそろAIを入れたほうがいいでしょうか」

相談でよく受ける質問ですが、この問いはもう少し前の時代のものになりました。判断する前に、すでに入り込んでいるからです。

気づかないうちに、毎日使っている

検索したときに最初に出てくる要約。メールの返信候補。スマホが勝手に作る「去年の今日」のアルバム。ExcelやWordのリボンに並んでいるボタン。

どれも、意識して選んだものではありません。導入の決裁をした覚えもないはずです。それでも毎日通っている。

20年前、「うちはインターネットを使うべきか」という議論があった時期は、振り返るとごく短いものでした。気づけば電気や電話と同じ扱いになっていた。いま起きているのは、それとよく似た動き方です。

DXで速くなったのに、忙しさが減らない理由

「DXは何年か前にやった」という会社は多いはずです。帳簿をクラウドに移し、FAXをメールにして、Excelで管理表を作った。確かに速くはなりました。

ただ、忙しさはあまり減っていないのではないでしょうか。

理由はシンプルで、道具が新しくなっても、打ち込む人・転記する人・集計する人は必要なままだったからです。手書きの伝票がクラウド画面に変わっただけで、入力する手は残っている。

AIが加わると、ここが変わります。入力や下書きといった工程そのものを引き受けてもらえるので、人の手元には内容を見て決める部分だけが残ります。

私の1日は、こうなっています

抽象的な話にならないよう、実際にやっていることを挙げます。

  • 面談が終わって録音を置いておくと、議事録と決定事項、次にやることの案までそろっている。私は読んで直すだけ
  • 問い合わせが届くと、前回までのやり取りを踏まえた返信の下書きが用意されている。読み違いがないか見て送る
  • 月初には、前月の数字とグラフ、気になる変化への指摘案が並んでいる。私は打ち手を決める

手を動かす時間が減った分、決める時間と、人と話す時間が増えました。仕事が減ったわけではなく、中身が入れ替わった感覚です。

差がつくのは、始めた時期です

ただし、明日いきなりこの状態にはなりません。

AIの出してきたものが使えるかどうかを見抜く目は、実際に使いながらでないと育たないからです。本を読んでも身につきません。ここに助走期間が要ります。

そして、同じ報告書を仕上げるのに片方は2時間、片方は確認込みで20分という状態になったとき、その差は見積の金額や納期の返事の速さに、そのまま出ます。競合は大企業とは限りません。隣町の同業が先に慣れているかどうかの話です。

救いは、元手がほとんど要らないことです。月数千円のAIチャット1つあれば始められます。数百万円のシステム投資が要るわけではない。決裁に時間がかからない分、小さい会社のほうが動き出しは速いはずです。


DXとAIXが何をどう変えるのかを表で整理したものを、AI活用マップの入口に置いています。

AI活用マップ|なぜAI活用が必要か

「自分で使う → つくる → 任せる → 組織に広げる」の順路で、AI活用マップを無料公開しています。