顧客生涯価値(LTV)から考える販促実施の判断基準

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前回は、売上計画をたてる際には根拠を示すこと重要で、その根拠があることで、より信頼性のある売上計画になることを書きました。

かけ算で考える信頼性のある売上計画
...

今回は、その販促活動を実施すべきか否かの判断基準について、お伝えしていきたいと思います。

20000枚のチラシをポスティングすると、16万円の売上が出ます、という売上計画の例を、引き続き活用していきます。

チラシ20000枚のポスティングの効果(予測)
20000枚のポスティングを行うと、約0.1%の反応率があるため、
新規顧客を20人、客単価8000円を掛けると、売上は16万円
そのうち、60%の12人が2ヶ月に1回リピートしてくれるので、
月あたり4.8万円の売上を見込む

ここで、費用対効果、を考えていくことになります。
20000枚のポスティングにいくらかかるのか、そしてこの販促が効果的なのか、です。

仮に、

20000枚のポスティングにかかるコスト
チラシデザイン3万円
印刷費4万円(=@2円×20000枚)
ポスティング費用6万円(=@3円×20000枚)
合計13万円(税込で約14万円)
としましょう。

コスト14万円に対して、売上が16万円出るので、実施する効果があると評価できるか、というと、そうではありません。
効果を測定するのは、売上ではなく、粗利(原価を除いた利益)で判断をします。

今回の例では、仮に、粗利率が8割だったとします。
16万円の売上に対して、12.8万円(=16万円×0.8)が粗利となります。

したがって、広告実施直後の効果だけを見ると、粗利の方が小さくなりますね。

しかし、このお店にリピートしてくれますので、月あたり4.8万円の売上に対して、約3.8万円の継続的な粗利が期待できます。
つまり、2ヶ月経つ頃には、12.8万円+3.8万円=16.6万円となり、コスト14万円を上回る成果を出すことができます。

つまり、広告実施の決断は、いつまでに効果を得たいか、によって変わってくるのです。

この期間はどのように決めるのか。
それは、以下のように各店の経営状況(資金状況)によるものです。

資金繰りに余裕がない場合
広告実施1ヶ月で、すぐ利益となって回収できないといけない
費用14万円 > 粗利12.8万円
今回の販促はやってはいけない!という判断になります。
資金繰りに若干の余裕がある場合
3ヶ月ほどの間に十分な成果が出せればよい
費用14万円 < 粗利20.4万円(1ヶ月目12.8万円、2ヶ月目3.8万円、3ヶ月目3.8万円)
今回の販促は実施するという判断になります。

実際はもう少し複雑な計算式があるようですが、ここでは概念を理解していただきたく、あえて簡素化しています。


LTV(Life Time Value:顧客生涯価値=顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益)の考え方にも通じています。

ただし、長期のリピートが期待できたとしても、広告をして何年も経たないとその成果が出てこない場合は、経営が続きませんので、今回は、生涯ではなく、一定の期間を設けていることに注意が必要です。

あくまで、資金内で早期に利益が出る、という計画のもとで、実施可否を決断していくことが必要になります。

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