28年度、29年度と、さいたま市の幼稚園魅力発信事業に携わりました。
幼稚園魅力発信事業は、さいたま市にある私立幼稚園等の特色ある幼児教育の魅力を、地域の子育て世代へ効果的に発信できるよう、幼稚園等におけるWEB作成等に係る支援施策です。
2018年2月22日に行われた発表会では、さいたま市内の幼稚園関係者に向けて、事業の取り組みを紹介させていただきました。
発表会の最後に、こんな質問を受けました。
「保育園と比較して、幼稚園の魅力はなんだと思いますか?」
保育園と比較されること、幼稚園にとっては永遠のテーマだと思います。
私自身は、娘を保育園に通わせていることもあって、
保育園生活で感じたことと、この魅力発信事業を通して関わった幼稚園を比べて、「教育。特に小学校に上がってからの子どもの成長の度合いが違う。成長の違いを理解している親にとっては幼稚園教育に魅力に感じる」といったことを発言させていただきました。
しかし、この答えが本当に正しかったのか、、、
機能、価値、魅力の違い
発表会で受けた質問を踏まえて、また、3園の発表を聞いて、今一度、機能・価値・魅力を改めて考えてみました。
提供する機能があって、そのなかに価値(自分で認識している価値、認識していない価値)があり、価値のいくつかが魅力になるのかな、というイメージ図です。
機能
〜がある、というのが機能であって、よくも悪くも、事実を表すのが機能です。
保育園と幼稚園を一般的な観点で挙げています。
(※ある/ないは園によって異なります)
- 共通
- 保育園
- 幼稚園
園の方針がある、預かり時間が決まっている、費用、立地、受け入れの園児数、先生の数、季節イベント、など
0歳から、保育士による保育、給食、など
年少から、指導体系がある、教員による教育、園バス、制服、お弁当、課外活動、父母会、など
価値
自社の機能のなかで、特徴がある、他と比較して優位なものが、価値となります。
強みやメリットという表現も使いますね。
長年積み上げてきた教育方針は、価値そのものです。
しかし、顧客(保護者)にとっては、わかりにくい価値です。
「見えないものを見える化する」というのは、ココに該当します。
その他には、園バスのルートが充実している、課外活動が充実、◯◯(スポーツ、音楽、英語、小学校受験など)に強い、制服がかわいい、自園給食、子育て支援に積極的、園庭が広い、温かいご飯、(保育園では)夜遅くまで預かってくれる、というようなことでしょうか。
もちろん園によって、園の価値は異なります。
また、価値には、デメリットや弱み、と呼ばれる「負の価値」もあります。
預かりの時間が短い、とか、長期休暇は預かってくれない、とか、ですかね。
魅力
幼稚園側の想いとしては、自園の教育方針や園での生活習慣を理解してくれて、子どもが育つ環境として最適だ、と園に魅力に感じてもらいたいのです。
しかし、実際は、というと、教育方針を完璧に理解して入園を決める保護者は少ない、のではないでしょうか。
では、何に魅力を感じて入園を決めたのか。
ここまで整理してみて、改めて感じたのは、どの価値を魅力と感じるかは、人(顧客)によって異なる、ということです。
お弁当が子供の教育に良し、としている園の方針(=価値)であっても、保護者によっては、お弁当を毎日作るのが大変、と敬遠してしまう場合もあります。
また、園バスのルートが充実しているのは、家が多少離れているから魅力に感じるのであって、家の近所にその園があるなら、あまり魅力に感じません。
一方で、「この幼稚園に通うことがステータスになる」という保護者もいるわけです。保護者のステータスアップも大きな魅力の1つですので、親のステータス、というのは隠れた価値と言えるでしょう。
ですから、価値と魅力は、
価値は、提供側が顧客に提供できることであって、
魅力は、数ある価値の中から顧客が感じること、
が違いであると考えました。
魅力を発見するために
商品やサービス、企業(今回の保育園、幼稚園も含む)は、価値の集まりです。
しかし、上記に挙げたように、魅力は、顧客によって異なります。
ですから、価値を押し売りするのではなく、顧客を特定することが、魅力発見の第一歩です。
顧客が特定できれば、価値のなかから、自園が顧客からどのように魅力を感じてもらえるのか、発見することができるようになります。
そして、魅力が発信できるようになると、企業が求める顧客(魅力と感じてもらえる顧客)が集まってきますので、
必然的にいい顧客だけが集まってくる、好循環にも繋がっていくのではないでしょうか。