創業時のお金の心配を解決するには「早めの行動」が大事

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創業して、最初に専門家に頼るのは、会社設立の手続きを依頼するか、お金の心配を解決したいから、ということだと思います。

お金の心配は、創業期に限らず、いつまでもつきまとうことになりますが、今回は創業期のお金の心配事をまとめてみました。
特に、創業前の方にお読みいただきたい内容です。

自己資金を貯める

まず、創業にあたって先立つものは金。
自己資金と言いますが、ご自身で貯めてこられたお金、のことです。

絶対に必要です。

※ここでは、事業用に使えるお金を「自己資金」として説明しています。
家族の生活費や貯金は含めずに考えてください。

自己資金はいくらあればいいの?

自己資金は多いに越したことはありませんが、自己資金が潤沢な創業者は多くありません。

自己資金はいくらあればいいのか、という質問も受けるのですが、事業内容によって必要な資金も違いますから、自己資金の絶対的な基準はありません。

賃貸契約や内外装工事費、設備購入などの大きな初期投資が必要であれば、相応の資金が必要ですし、初期投資がかからない身体一つで始められるコンサルタント業などの場合は、事業用の資金がなくても始められます。
ただ、どんな事業においても、事業を大きくするためには、それなりの費用が必要になってきます。

仮に創業して2〜3ヶ月、まるっきり収入が得られなかった場合でも、必要経費を支払える、またはご自身の生活に充てる最低限の資金として、
どのような事業であっても、少なくとも100万円は用意しておいていただきたいところです。

融資相談時に質問された場合には、事業に必要なお金の1/3は用意しておくことが望ましい、と回答しています。
事業資金に対して、自己資金が少ない場合は、”計画性がない”や”準備不足”と評価されてしまいます。

自己資金はコツコツ貯めるのが一番!

創業時の事業資金に退職金を充てる、という方もいらっしゃいます。
しかし、退職金は、ご自身の将来(退職後)の生活費に充てがわれるお金であることを考えると、退職金を事業用にすることはなるべく避けたほうがよいでしょう。

理想は、毎月ちょっとずつでも、定期的にコツコツと積み立ててあることが望ましいです。

事業資金のために何年も貯めてきた実績は、事業に対する本気度の表れです。
退職金から300万円用意するお金と、5年間毎月コツコツと300万円貯めてきた場合では、後者の方が事業への思い入れが強いと、高く評価されます。
仮に、事業のために貯めてきたわけではないとしても、少しずつでもコツコツ貯める習慣がある、=計画性がある、と評価されるのとでは、大きな差となります。

タンス預金は要注意!

自己資金の準備で避けていただきたいのは、「タンス預金」をしないことです。

タンス預金とは、銀行の通帳ではなく、自宅のタンスにお金を置いておくことです。
(今の家庭には箪笥自体がないかもしれませんが、昔の名残でタンス預金と呼んでいます・・・)

タンス預金では、いつどのように貯めたお金なのかが正確に判断ができません。
融資に絡む話になるのですが、証拠に残らない出処から来たお金は金融機関から信じてもらいにくくなってしまうのです。
※タンス預金を理由に融資がNGになるわけではありません。

自己資金に関するまとめ

☑ 自己資金は多いに越したことはない
☑ 創業を思いついたときからコツコツ貯める
☑ コツコツ貯めることは、計画性や事業への想いの高さを伝える意思表示になる
☑ コツコツ貯金は融資で高評価を得られる
☑ タンス預金をせずに、銀行口座に記録を残しておく

融資を受ける

創業期は融資を受けるチャンス!

事業資金すべてを自己資金で賄う必要はなく、事業資金の一部を融資してもらうことが可能です。

創業期は、融資を受けやすいタイミングです。

昨今、国として創業を後押ししている風潮もありますが、なにより創業直前は一番お金がある時期です。

多くの方は、自己資金が潤沢でなく、ギリギリの予算で創業準備を進めようとします。
しかし、賃貸物件の契約、内装工事、設備・備品類の購入や仕入れ、広告の契約などで、予算いっぱい使ってしまうと、もう残高がほとんどなくなってしまいます。
もし、創業まもないタイミングで、売上などの計画がちょっとでも下回ると、一気に資金繰りが苦しくなります。
残高がないと、積極的な広告宣伝を行うことすらできなくなってしまいます。
負のスパイラルです。

また、創業から時間が経ち、年度の決算が出ると、また厄介です。
業績が良ければいいですが、大きく目標を下回っている場合には、決算書から判断されて、融資が受けにくくなります。

このように、創業してみたものの、苦しいので助けてほしい、と金融機関に融資を申し込んでは、、、後の祭りです。
何年も事業をしてきた実績があれば別ですが、創業したばかりでうまく事が運ばないとなると、その事業にわざわざ銀行がリスクを取って貸し出すことはしないでしょう。

ですから、一番お金のある状態の時に(できれば創業前に)、融資を申し込んでおくことをオススメするのです。

返済実績を利息で買う、という考え方

仮に、自己資金が潤沢であったとしても、創業融資は受けておくべきです。
潤沢な資金のなかで、毎月の返済をしておけば「返済した実績」ができます。

返済実績は、金融機関に対して会社の信用そのものです。
もし、本当に融資が必要になった時に、返済実績がある会社は信用があるとして、金融機関としても貸しやすくなります。

創業融資に関するまとめ

☑ お金がない人にはお金を貸してくれない
☑ 一番お金がある創業前が一番借りやすい
☑ お金がなくなってから、では遅い
☑ 返済実績が、いつか会社の役に立つ
☑ 借りられるときに借りておく

創業融資の審査でNGになる5つの特徴と解決方法
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補助金・助成金をもらう

やりたいことの道半ばに、たまたま補助金があったので、使う。
これが本来の補助金・助成金の活用方法だと思います。

当たり前のように聞こえますが、いざ目の前に補助金制度という返さなくていいお金をもらえるチャンスがチラつくと、そうもいかなくなるようです。

今すぐやりたいことがあっても、補助金の採択を何ヶ月も待ってから、という方が多いです。
創業に限って言うと、補助金に採択されたら創業する、採択されなかったら創業しない。というように、補助金次第で人生設計が変わってしまうのです。

シビアなお金の問題なので、私がきれいごとを言っているように聞こえますが、
そういう方は、補助金が採択されないと、計画書作成の時間や労力が無駄だった、と感じるようです。。。
たまに、支援した私たち専門家を非難してくる方もいらっしゃいます。

当初のご自身の計画を捻じ曲げてでも補助金をもらう、のは意味がありません。
補助金・助成金は、おまけです。もらえたらラッキー!という気持ちで取り組みましょう。

・・・もちろん支援する場合には、採択されるように全力を尽くします!!!

創業塾に参加する

お金の心配、とは少し話が変わるのですが、全国各地の金融機関、自治体、支援機関等で開催されている創業塾があります。

創業の失敗を軽減する、成功を後押しすることができる、その名のとおり、創業者向けの講座です。

経営の基本を学ぶ

大半の方が事業を起こすのが初めてで、右も左もわからない状態ですから、
創業塾に通い、経営、マーケティング、販売促進、会計、人事労務、法律、ITなどの基本を学ぶことができます。

最近では、創業補助金の応募要件になっていたり、融資における優遇条件にもなるため、それらを目的として参加される方もいらっしゃいます。

複数回開催の受講で、受講料が0円〜数千円、高いところで2万円程度(?)とおトクなので比較的気軽に受講できると思います。
受講の要件は、創業前でも、創業した後でも受講することができます。

創業後のことを考えると、創業後は慌ただしくてそれどころではなくなるため、創業前に通っていただくことがよいでしょう。

創業塾での貴重な出会い

創業塾の参加には、もう1つメリットがあります。
それは人との交流です。
同じ地域で一緒に、同時期に創業を目指す仲間ができます。
また、講師からの手厚いフォローも魅力だと思います。

 

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