社内AIが当たり前になったとき、個人に残る3つのもの

「AIが使える」ことは、あと数年で差になりません。

スマートフォンが出た頃、使いこなせる人は確かに目立っていました。いま「スマホが使えます」を履歴書に書く人はいません。同じ道をたどります。

問題は、その先に何が残るかです。

差は3段階で移っていく

最初にあったのは、知っているかどうかの差でした。会議で「ChatGPTなら書けますよ」と言えるだけで一目置かれた時期です。これはもう終わりかけています。

いま多くの人がいるのが、2段階目。指示の出し方、手順の組み方、繰り返し作業の自動化といった、扱いの巧拙による差です。ただ、これも長くは続きません。ツールが親切になるほど、操作の差は縮まるからです。

3段階目が、持っている中身の差です。ここだけは、ツールが進化しても埋まりません。

社内AIが、全員に同じ答えを返す日

近い将来、会社が契約したAIが社内文書を全部読み込んだ状態になります。マニュアルも、過去の議事録も、他部署の事例も、聞けば誰でも同じ答えが返ってくる。

そのとき、社内では情報の差がなくなります。議事録が作れる、資料が整っている、事務が速い。こうしたことも横並びになる。会社のAIが、誰に対しても同じ品質で出してくるからです。

では、個人として何が残るのか。3つあると考えています。

残るもの、3つ

ひとつは、自分がどう判断したかの記録です。 議事録はAIが読めます。でも「あのとき自分がなぜその案を選ばなかったか」「どこで迷ったか」は、どこにも残っていません。書いておかない限り、この世に存在しない情報です。同じ材料を渡しても相談の質が違ってくるのは、ここの厚みの差です。

ふたつめは、社外で拾ってきたものです。 会社のAIは、会社の中しか読んでいません。他業界の事例、異分野の本から得た発想、自分の経験。外に出て動いた人だけが持っています。渡せる材料の幅が、そのまま出てくるものの幅になります。

みっつめは、問いの立て方です。 AIは答えを出しますが、何を聞くかは人間が決めます。「今期の売上を教えて」と聞く人と、「なぜ3月だけ伸びたのか、仮説を3つ出して」と聞く人では、返ってくるものがまるで違う。この差は、どれだけ考えてきたかの蓄積から出ます。

だから、記録を勧めています

私は日々、いくつかの形で記録を残しています。日記をつけましょう、と言うと身構えられるのですが、意味合いが変わりました。

いい習慣のためではありません。書いたものが、そのままAIに渡せる材料になるからです。「今日の打ち合わせ、手応えがいつもと違った」の一行でいい。書いてありさえすれば、AIが整理してくれます。頭の中だけにあるものは、渡しようがないのです。

今日できることは小さくて構いません。打ち合わせのあとに3行だけ書く。それで十分です。


AI活用マップ|コラム:AI時代に差をつける、唯一の方法

自分だけの材料をAIに渡す手順は、AI活用マップ本編で扱っています。