AIに顧客情報を入れたら、情報漏洩?「保存・学習・漏洩」を分けて考える

「AIに顧客情報を入れたら、情報漏洩になりますか?」

AIの相談を受けていると、こういう質問がけっこう来ます。
私の答えは「漏洩ではない。でも、社外に預けたことは確か」です。

多くの方は、「保存」「学習」「漏洩」の3つが混ざってしまっています。この記事では、1つずつ分けて説明します。

結論:3つを分けると、やることが見えてくる

何が起きるか 確認すること
① 保存 入力した内容はAI事業者のサーバーに届き、一定期間残る(必ず起きる) 預け先の会社を信じられるか/契約上、外部に預けてよい情報か
② 学習 入力データが次のAIモデルの訓練に使われるかどうか(設定と契約しだい) 学習の設定がオフになっているか/法人向け・APIの契約内容
③ 漏洩 他人が見られる状態になること(入力しただけでは起きない) 共有リンク・アカウント管理などの「事故」を防げているか

① 入力=保存

入力した瞬間に、内容はAI事業者のサーバーに届いて一定期間残ります。ChatGPTでもClaudeでも必ず起きることです。
GoogleドライブやDropboxにファイルを保存するのと同じことですね。

つまり、「預け先の会社を信じられるか?」という話になります。
Googleを信じますか? Amazon(AWS)を信じますか? 信じられないならクラウドは使うべきではないですし、どの会社を信じて使うかは、あなたの判断基準です。

たとえばDeepSeekの公式アプリやAPIを使う場合、データは中国のサーバーに置かれます。中国では法律にもとづいて政府がデータを見られる状態にあるため、ちょっと怖いですよね。
(なお、DeepSeekのモデル自体は公開されているので、国内や米国のクラウドで動かせば、データは中国を通りません。)

問題になりやすいのは「契約」

ここで問題になりやすいのは、扱っている情報を第三者(外部のサーバー)に渡してはいけない契約になっている場合です。
AIに関係なく、NDA(秘密保持契約)の条文や個人情報の扱い方によっては、「第三者に渡した」ことが違反になりえます。

だから私の場合は、仕事を始める最初に「AIへの入力やデータを、Googleドライブなどのクラウドに保存していますが、いいですか?」と確認を取ってから対応しています。

② 学習

学習とは、入力したデータが次のAIモデルの訓練に使われるかどうか、です。これは設定と契約によって変わります。

  • 個人向けプラン:学習に使わない設定にできることが多いです。ただし、初期設定では学習がオンになっていることが多いので、自分でオフにしておきましょう。
  • 法人向けプラン・API:原則として学習に使わないのが一般的です。

なお、入力したデータが学習に使われたとしても、生成AIは学習した中から確率的に言葉を選んで文章を作るので、入れた内容がそのまま出てくるとは限りません。ただ、まれに再現されることもあるので、ゼロではありません。

設定と契約をきちんと確認しておくことが大事です。

③ 漏洩

漏洩とは、他人が見られる状態になることです。漏洩は、入力したり保存したりしただけでは起きません。

漏洩には、次のような別の「事件・事故」が必要です。

  • 共有リンクを「公開」にしていた
  • アカウントを乗っ取られた
  • 事業者側の不具合
  • USBメモリをなくした

つまり、漏洩を防ぐのは「AIを使わないこと」ではなく、共有設定やパスワード管理といった、これまでと同じ情報管理です。

まとめ:怖がりすぎず、何でも入れない

怖がって使わないのも、気にせず何でも入れるのも、どちらも避けたいところです。

  • ① 保存:預け先を選ぶ。契約上、外部に預けてよい情報かを確認する
  • ② 学習:設定をオフにする。法人向けやAPIの契約を確認する
  • ③ 漏洩:共有リンクやアカウントの管理を、これまで通りきちんとする

正しく分けて考えれば、AIは安全に使える道具だと思います🐥

AIのセキュリティの基本は、AI活用マップの「AIセキュリティの基本」でもまとめています。あわせてご覧ください。