USPを作り出す”顧客との約束”

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競合がたくさんいて、取り扱っている商品やサービスが変わらないので、自社のUSP(他社との差別化)をどう考えていいかわからない、という事業者様が多くいらっしゃいます。

USPとは、Unique Selling Propositionの略で、「独自の売り」「独自の売りの提案」という意味のマーケティング用語です。

ドミノ・ピザの事例

USPの話をするときの事例としては、アメリカのドミノ・ピザが有名です。

ドミノ・ピザが事業を開始した当初は、今とは違い、保温機能も低く、配達している間にピザが冷めてしまうような時代でした。
ドミノ・ピザでは、「できたてアツアツのピザを30分以内にお届けします。遅れたら料金はいただきません」とお客様に約束を提案したのです。

これがドミノ・ピザのUSPであり、他社と比べて、USPが圧倒的に評価されたために、ドミノ・ピザが勢力を拡大させることができました。

“約束”の事例

“約束”は、専門用語では、「リスク・リバーサル」と言います。
買い手は、購入を決断する際には、様々なリスク(不確実性)を感じます。
そのリスクを、買い手に負わせるのではなくて、売り手が負うことで、買い手側からリスクを取り除くことです。

ドミノ・ピザの他にも、USPとなりうる”約束”はたくさんあります。

☑ 永久保証
家電などの◯年間の保証と比べ、”永久”を約束をすることで、他より群を抜いたUSPになり得ます。
高額な商品に多くあります。

☑ 気に入らなければ返金
ドミノ・ピザのように、商品やサービスの品質に自信がある場合に掲げることが多くあります。

☑ 成功報酬
成功しなかったら、報酬はいただきません、というものです。
私も、この報酬形態を取ることがあります。

 

“約束”をするメリット

約束を守るためには、組織や運営体制の整備、ルール、従業員教育など行う必要が出てきます。

約束をすることで、自分たちを追い込み、無理矢理にでも事業基盤を整備・強化せざるをえません。

最初は大変かもしれませんが、強い事業基盤が出来上がっていくチャンスとなります。

 

“約束”の注意点

“約束”の裏側を見据えておく

上記に挙げた返金や永久保証の事例だけを見ると、一見、損失やコストしかかからない状態となってしまいます。

そこで、”約束”の裏では、きちんと次(売上・利益)に繋がる施策を打っておくことが重要です。

返金の場合、必ず顧客の声(返金に至った理由)を拾うようにして、その原因を徹底的に潰していきます。
顧客の声を集めることが、次の売上に必要なコストと捉えるとよいでしょう。

永久保証の場合では、永久に顧客との接点を保ち続けることができます。
定期的に顧客にアプローチできれば、高い確率で次の売上を狙うことができます。

競合に真似される可能性が高い

また、この”約束”は、競合他社に真似される可能性が高い、ということを知っておかなくてはなりません。

もちろん真似されにくいUSPを考えることができれば、それに越したことはありません。
しかし、競合も同じような商売をしている以上、ビジネスモデルや利益構造も同じなので、類似の対応ができる可能性があります。

また、USPはお客様の感情次第です。
時代の流れとともに、お客様の求めていること(ニーズ)が変化している場合は、USPも柔軟に変化させていくことが求められます。

大切なのは、絶対に真似されないUSPを考えることではなく、お客様の要望に気づき、お客様が求めるUSPを考え続ける姿勢が大切になります。

過去の記事も参考にしてください。

実践!中小企業の差別化・USP
地域一番店を目指すには、USPを決め、競合他店と差別化を図ることが求められます。しかし、顧客に技術や品質の違いは伝わりにくく、事業の本質(サービスメニュー)で違いを出すことはとても難しいのです。それでも、USPを打ち出して、競合他店と差別化を図るにはどうしたらよいでしょうか。

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