小規模事業者持続化補助金では、通常75万円以上使用すれば50万円が補助されますが、その上限が100万円までアップする要件があります。
平成28年度第二次補正予算<追加公募分>の公募回では、当要件がなくなり、50万円コースのみとなりましたが、次回公募には、当コースが復活する見込みです。
小規模事業者持続化補助金の補助上限額が100万円にアップする3つの要件(賃上げ、海外展示会出展、買い物弱者対策)と注意点を見ておきましょう。
<2018.03.15 平成29年度の公募に合わせて、内容を一部修正しました>
100万円コースで申請していたが、実現しなかったら補助金額はどうなってしまうの?
よくある質問です。
仮に、賃上げを計画し100万円で採択を受けたが、実際に賃上げできなかった場合は、補助金額が0になってしまうのではなく、一般の要件である上限50万円となります。
4%以上の賃上げ
要件
以下のすべてを満たすことが必要です。
- 雇入れ後6か月を経過した労働者がいること
- 直近の賃金支払い時における「時間当たり賃金額」の最も低い者の「時間当たり賃金額」を4%以上引き上げること
- 引き上げた額を、賃金引き上げ実施後の「事業者内最低賃金」とすること
- 引き上げ後の「時間あたり賃金額」を、雇用する全ての労働者の下限の賃金額(事業者内最低賃金)とすることを、就業規則に定めること
- 「事業者内最低賃金」の引き上げ実施は、本事業への申請日以降であること
- 補助事業終了までの期間の間に、賃上げ実施から3ヶ月が経過し、集計できること
- 労働者の解雇、「時間あたり賃金額を引き下げること」や「所定内労働時間の短縮または所定労働日の減少を内容とする労働契約の変更を行い、月当たりの賃金額を引き下げること」等を行っていないこと
※開業後6か月未満の事業者や、開業後6か月以上経過しているものの「対象労働者」に該当する者が一人もいない事業者は、本制度の適用対象外です。
※就業規則などがない場合は、期間中に作成することが必要です。
※補助事業終了が12月31日ですから、遅くとも10月1日から賃上げが実施されていること
確認期間としては、補助金交付決定日の前日から起算して6か月前の日から「事業者内最低賃金引き上げ確認期間」終了日までの間。
最低賃金の求め方、などの計算式は、公募要領をご確認ください。
注意点
残業代や社保なども必然的に増加しますので、基本給4%増加のインパクトはかなり大きいです。
追加の補助金額50万円を期待して、安易に4%アップしてしまうと、事業者側の負担が大きくなります。
海外展開
海外で開催される「展示会等に出展」、「商談会への参加(個別の取引先との商談は除く)」、「展示会等を開催」する取組みが補助事業に含まれている場合には、補助上限額が100万円に引き上がります。
注意点
展示会出展では、主催者などとのやり取りで事前準備に相当な時間がかかります。
展示会出展に限り、申込みは交付決定前でも構いませんが、請求書の発行日や出展料等の支払日が交付決定日以前となる場合は補助対象となりません。
その他、補助事業期間内に開催が可能であることを事前にご確認ください。
買い物弱者対策
補助事業として、自社の販路開拓等であり地域の買物弱者の問題の解決に向けた取り組み(=買物弱者対策事業)を行う事業者については、補助上限額が100万円に引き上がります。
<買物弱者対策事業の取組事例のイメージ>
・周辺にスーパー等がなく高齢者が買物に不便を感じている地域において、冷蔵車を購入し、生鮮食料品の移動販売を行うことで、地域住民の集える場を提供するなど、地域コミュニティ維持に貢献する取り組み。(例えば、冷蔵車は「車両購入費」、移動販売の広告宣伝は 「広報費」として補助対象経費となります。)
・自力での移動が困難な要支援者・要介護者に対し、介護タクシー事業者と協力し、自店への送迎を行い、美容サービスを提供することで、生き生きとした生活に貢献する取り組み。 (例えば、送迎等を開始する旨の広告宣伝は「広報費」、店舗のバリアフリー化工事は「外注費」として補助対象となります。)
注意点
取り組もうとする事業内容が、管轄の市区町村における「買物弱者支援」の施策の方向性に合致すると当該市区町村が認めた場合に限られます。
申請前に、事業実施地域を管轄する市区町村から指定様式の作成・交付を受けて、提出することが必要です。
自治体からの指定様式発行には一定の日数がかかります。締切までに十分な余裕をもって、お早めにご相談ください。