個人事業を開業する場合、原則として、「開業届」(正式名称「個人事業主の開廃業等届出書」)を税務署に、「事業開始等申告書(個人事業税)」を税事務所に、提出することが義務付けられています。
なんのために、開業届を提出をするのか?
それは、「税務署が事業税や所得税の納税対象者を把握するため」です。
義務、とはいえ、開業届を提出しないからといって罰則があるわけではありません。
とは言うものの、納税したくないから申告しない、、、というのは、脱税(=犯罪)になりますから、開業届を提出しなくても、確定申告はきちんとしてくださいね。
逆に、開業届を提出しなければ、公式に開業したと認めてもらえず、
以下のような優遇を受けることができなくなります。
開業届を出しておいたほうがよいケース
青色申告制度の控除等を受けたい
青色申告制度とは、一定の帳簿を備え付け、正しい所得金額や税額を計算し申告・納税を行う場合には、以下のような優遇をしますよ、という制度です。
☑65万円の特別控除
☑青色事業専従者給与
☑純損失の繰越控除と純損失の繰戻還付
※それぞれの説明は省略します。
開業の証拠として公的な書類を求められた
個人事業を開業したかどうか、の判断は、開業届をもって判断されることが多いです。
実際に、私自身も開業年数を問われ、開業届(控)を提出しなくてはならないケースに遭遇しました。
また、IT導入補助金の申請時に、
事業の実在証明の一書類として、開業届の提出を求められています。
開業届を出すときに注意した方がいい点
扶養から外れる可能性
健康保険組合によっては、自営業者は扶養に入れない、という要件があります。
そのため、ご主人の扶養に入っている専業主婦が開業しようとした場合、
個人事業主になった時点で扶養から外れ、
社会保険(健康保険・年金)を自身で支払っていくことになります。
失業保険をもらえない可能性
「会社を辞めて、しばらく失業保険をもらいたいなぁ」なんて考える人もいます。
しかし、サラリーマン時代に副業するために、開業届を提出していた場合、
自分で事業をやってしまっているわけですから、失業保険の要件である「再就職を目指す人」には該当しないわけです。
ですから、失業保険がもらえなくなるケースがあるようです。
冒頭にも記載しましたが、開業届は提出が義務付けられているものです。
個人事業を開業しようとしている方は、上記リスクも勘案のうえ、きちんと開業届を提出をするようにしましょう。