過去最大級1兆1400億円もの予算が組まれた
2021年注目の事業再構築補助金。
2021年3月17日に事業再構築指針
※「思い切った再構築とはこういうこと」というルール
が発表されました。
結論 ⇒ 申請要件を満たすのは厳しい!!
これは厳しい!!!
事業再構築指針を見て、愕然とされた方が多いと思います。
多くの方が
「事業再構築補助金は狙い目!」
「うちも狙えるんじゃないか?」
「予算たくさんあるから、通りやすいだろう」
「早いタイミングで申請すると通りやすいですよ。」
「ほら!みんな6000万円の事業再構築補助金を申請しよう!」
なんて、ホイホイ甘い噂に踊らされていた、この数カ月間でした。
私は、いろいろとお問い合わせをいただいていましたが、
割と厳しめの塩対応で、、、
ほとんどGoサインを出さずにいました。
3月17日に発表された事業再構築指針は
申請を考えていた8割9割の方が申請できない、くらいの
大きなインパクトある内容となりました。
この再構築指針を一言で言うなら、「失敗の可能性が高い事業」とわかっていながら、ポストコロナ、ウィズコロナ時代を見据えて、一歩踏み出す企業しか該当しません。
それくらい大掛かりで難易度の高いチャレンジを求めており、リスク回避のために大型補助金で補助する制度になっています。
隣の芝は青く見えちゃうような比較的軽い気持ちで、隣の業種・業界にチャレンジする企業には、該当しないと思います。(たいがい、隣の芝は青くありません)
指針の解釈を間違えており、一部の相談者にはご迷惑をおかけいたしました。
大変失礼いたしました。(2021.03.28追加)
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まず5つの申請の型を抑える
ここは、当初より出ていた情報とあまり変わりませんが、
(1)新分野展開
(2)事業転換
(3)業種転換
(4)業態転換
(5)事業再編
という、申請の類型(タイプ)別に、必要な要件がまとめられています。
※中小企業卒業枠、中堅企業グローバルV字回復枠は、省略します。
指針を確認される際には、「自社がどの類型で申請をするのか」を明確にして読みすすめてください。
「事業再構築指針の手引き P28 7.事業再構築の類型のまとめ」をベースに解説をしていきます。
主たる業種とは、売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいう。
主たる事業とは売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業をいう。
(1)新分野展開
新分野展開とは、中小企業等が主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出すること
【主たる業種又は主たる事業を変更することなく』とは、主たる業種も事業もどちらも変えない、という意味になります。
製造業が製造業のまま、新たな市場(例:自動車⇒医療やロケット)に向けて、
新製品を製造する、といったケースが考えられます
注)(2021.03.28追記)「新分野で行う再構築事業は主たる業種・事業でなければならない」と捉えていましたが、「3〜5年後の主たる業種・事業が変わらなければ、新分野で行う再構築事業は主たる業種・事業と違ってもいい」という解釈であると指摘を受けました。
多くの方は、新分野展開で合致する可能性がある、となります。
(2)事業転換
事業転換とは、中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること
主たる業種(例:飲食業)は変えずに、主たる事業を変える(例:日本料理⇒焼肉)に変える、といったケースが挙げられていました。
「和の職人さんが、焼肉やらないでしょ・・・」というツッコミはやめておきましょう。
私に多かった問い合わせでは、美容室⇒理容室・ネイル・エステというケースはこちらに該当しますが、落とし穴があります。後述を読んでください。
(3)業種転換
業種転換とは、中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更すること
例:製造業⇒情報サービス業のように、日本標準産業分類に基づく大分類の産業が変わるケースです
(4)業態転換
業態転換とは、製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更すること
例として、製造業がAIなどを活用して製造方法を省力化させる、対面で行っていた提供方法をオンラインに変えるケースです。
(5)事業再編
事業再編とは、会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと
こちらの表がわかりやすいので、転載させていただきました。
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指針からピックアップして紹介
「すべての要件を満たす」というハードル
以下の図のように、申請の類型ごとに、求められる要件は異なりますが、
①〜④までのすべてを満たすことが求められています。
(※1、※2は製造業かそれ以外か、で例外あり)
ここからは、それぞれの要件を見ていきます。
製品の新規性要件 (新分野転換・事業転換・業種転換に該当)
・過去に製造等した実績がないこと
・製造等に用いる主要な設備を変更すること
・競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
・定量的に性能又は効能が異なること
の4つすべてを満たすこと
ここでの高いハードルは、主要な設備を変更するという設備投資が必須な点と、競合の多くが取り扱っている製品ではダメ、という点です。
市場の新規性要件 (新分野・事業転換・業種転換に該当)
・既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
「代替性」とは、新製品が100売れたら、その反動で既存製品が売上100が下がる、結果として合計は変わらない、という意味です。
「代替性が低い状態」は、新製品が100売れたら、既存製品の売上100ほどは減少しない、もしくは、相乗効果で既存製品がより売れるようになる、ということを指します。
・既存製品等と新製品等の顧客層が異なること (任意要件)
顧客層が異なる場合には、審査でより高い評価を受けることができる場合があります。とのこと。こちらは任意要件のようです。
製造方法の新規性要件 (業態転換に該当)
・過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
・新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
・競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと
・定量的に性能又は効能が異なること
の4つすべてを満たすこと
ここも、主要な設備を変更する設備投資が必須である点や、競合他社がすでに一般的に用いている製造方法ではないこと、といった点で新規性が求められています。
業態転換の参考例として、飲食店のテイクアウトやヨガ教室のオンライン化が挙げられていましたが、いずれも、競合他社の多くがすでに実施しているという点で要件を満たさないのでは??
売上高要件 (すべてに該当)
2種類あり、後述します。
この売上高要件が、かなりハードルをあげています・・・
設備撤去 (業態転換に該当)
既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの
デジタル活用要件 (業態転換に該当)
非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うものであること
単に汎用性のあるデジタル機器やソフトの利用ではなく、これらを新たな提供方法のために事業に応じてカスタマイズする、改良するなどの工夫が必要ということで、システム関連費でも大きな投資が必要となります。
ヨガ教室のオンライン化が参考例として挙げられていましたが、Zoomのようなアプリを使うだけでは、このデジタル活用要件は満たせません。
・・・とすると、もう1つの設備撤去要件が考えられますが、小規模な店舗では、撤去するほどの場所・モノがなく、要件を満たすのは現実的ではありませんね。
組織再編要件 (組織再編に該当)
「合併」、「会社分割」、「株式交換」、「株式移転」、「事業譲渡」等を行うこと
その他の事業再構築要件 (組織再編に該当)
組織再編の場合は、再編に加えて、事業再構築の4つの型(「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」又は「業態転換」)のいずれかを行うことが必要です。
新事業に求められる売上規模のハードル
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年率平均3%以上の増加に加え、
新事業に求められる売上要件が2種類出てきました。
売上高10%要件 (新分野・業態転換に該当)
3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%以上とな る計画を策定すること
売上高構成比要件 (事業転換・業種転換に該当)
3~5年間の事業計画期間終了後、 新たな製品の属する事業(又は業種)が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定すること
「事業転換」「業種転換」に該当する場合に、ただでさえ事業・業種を変えるのは新たな市場に乗り出す難しさがあることに加え、現在の事業の売上構成を超えるほどの事業でないといけないというのは、本当に厳しい要件です。
まさに、ここが「思い切った事業再構築」という要件になっています。
例えば、既存事業で1億円の売上があった場合には、1億円以上の売上になる新事業でないと、構成比は変わらない。・・・となると、生半可な事業アイデアでは通用しません。
美容室⇒理容室・ネイル・エステを例にすると、
美容室に+αの売上程度で考えていた方が多く、既存(美容売上)の売上構成をひっくり返すほどの事業にするのは現実的ではない、という方がほとんどでした。
そもそも美容室⇒理容室・ネイル・エステの場合は、売上高構成比要件の達成ができるか?だけでなく、新規性要件(すでに競合他社の多くが実施していないか?)に当てはまらない、とも言えます。
軽い内容では申請対象にならないハードル
事業再構築指針や、事業再構築指針の手引きには、
要件を満たさない例もいくつか書かれています。
(1) 既存の製品の製造量又は既存の商品若しくはサービスの提供量を増大させる場合
(2) 過去に製造していた製品又は過去に提供していた商品若しくはサービスを再製造又は再提供する場合
(3) 既存の製品又は既存の商品若しくはサービスに容易な改変を加えた新製品又は新商品若しくは新サービスを製造又は提供する場合
(4) 既存の製品又は既存の商品若しくはサービスを単に組み合わせて新製品又は新商品若しくは新サービスを製造又は提供する場合
(5) 既存の製品の製造又は既存の商品若しくはサービスの提供に必要な主な設備、装置、プログラム(データを含む。)又は施設(以下「設備等」という。) が、新たな製品の製造又は新たな商品若しくはサービスの提供に必要な主な設 備等と変わらない場合
(6) 事業を行う中小企業等と競合する事業者の大多数が製造又は提供する製品又は商品若しくはサービスを新たに製造又は提供する場合
(7) 製品又は商品若しくはサービスの性能が定量的に計測できる場合であって、既存の製品又は既存の商品若しくはサービスと新製品又は新商品若しくは 新サービスとの間でその性能が有意に異なるとは認められない場合
(8) 既存の製品又は既存の商品若しくはサービスとは別の製品又は別の商品若しくはサービスだが、対象とする市場が同一である場合(具体的には、既存の 製品又は既存の商品若しくはサービスの需要が、新製品又は新商品若しくは新 サービスの需要で代替される場合)
(9) 既存の製品又は既存の商品若しくはサービスの市場の一部のみを対象とするものである場合
事業再構築指針 新分野展開の非該当例
(1) 既存の事業に必要な主な設備等が、新たな事業に必要な主な設備等と変わらない場合
事業再構築指針 事業転換の非該当例
(2) 事業の前後で売上高構成比の最も高い事業が日本標準産業分類に基づく細分類の単位で変更されない場合
(1) 既存の業種に必要な主な設備等が、新たな業種に必要な主な設備等と変わらない場合
事業再構築指針 業種転換の非該当例
(2) 事業の前後で売上高構成比の最も高い事業が日本標準産業分類に基づく大分類の単位で変更されない場合
(1) 製品の既存の製造方法又は商品若しくはサービスの既存の提供方法により、単に製造量又は提供量を増大させる場合
事業再構築指針 業態転換の非該当例
(2) 過去に製品を製造していた方法又は過去に商品若しくはサービスを提供していた方法により、改めて製品を製造し又は商品若しくはサービスを提供する場合
(3) 製品の既存の製造方法又は商品若しくはサービスの既存の提供方法に容易な改変を加えた方法で、製品を製造し又は商品若しくはサービスを提供する場合
(4) 製品の既存の製造方法又は商品若しくはサービスの既存の提供方法を単に組み合わせた方法で、製品を製造し又は商品若しくはサービスを提供する場合
既存の製品等の製造等に必要な主な設備が、新製品等の製造等に必要な主な設備と変わらない場合は要件を満たしません
事業再構築指針の手引き 製品等の新規性要件について
既存の製品等と新製品等の性能に有意な性能の差が認められない場合は要件を満たしません。
事業再構築指針の手引き 製品等の新規性要件について
「製品等の既存の製造方法等により、単に製造量等を増大させる場合」や、「製品等の既存の製造方法等に容易な改変を加えた方法で、製品等を製造等する場合」、「製品等の既存の製造方法等を単に組み合わせた方法で、製品等を製造等する場合」にも要件を満たしません。
事業再構築指針の手引き その他の業態転換の非該当例
「既存の製品等の製造量等を増やす場合」や「既存の製品等に容易な改変を加えた新製品等を製造等する場合」、「既存の製品等を単に組み合わせて新製品等を製造等する場合」にも要件を満たしません。
事業再構築指針の手引き 製品等の新規性要件について
既存の製品等とは別の製品等だが、対象とする市場が同一である場合(新製品等を販売した際に、既存製品等の需要がそのまま代替され、その売上が減少する場合)は要件を満たしません。
事業再構築指針の手引き 市場の新規性要件について
まさに、思い切った事業再構築が求められており、資金力のない個人事業主、小規模事業者、中小企業が行うちょっとした取り組みでは対象になりにくく、かといって、割と大きな既存事業があると売上構成比をひっくり返せるほどの事業転換、業種転換が可能かどうかも現実的ではない、と考えます。
計画未達の場合には、補助金返還!?
事業計画未達の場合には、一般の補助枠でも補助金返還を求める、という記事(2021.03.20)も出ています。
一気にハードルが上がってしまった事業再構築補助金
もともと私は、事業再構築補助金の申請は
条件が厳しい、とお伝えしていました。
指針を見て、これだけハードルが高いと、
申請要件に該当する企業が多くはなく、
予算1兆1400億円を使い切れないのでは、、、と感じました。
専門家目線の考えですが、
指針の要件を満たす難易度は
新分野 < 業態転換 < 事業転換 < 業種転換
かな、と感じています。
認定経営革新等支援機関に求められること
申請にあたっては、
認定経営革新等支援機関と相談され
ストーリーを練って、計画書を作り上げていくことをオススメします。
売上高要件以外では「100%審査で落とされる」とは言い切れないところですので、そのあたりは認定支援機関の腕の見せ所かな、と思っています。
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また、資金計画においても、
金融機関との調整も必要になります。
認定支援機関としての対応を希望される方は、
下記よりお問い合わせください。