創業者に最大300万円を助成![東京都]創業助成事業の応募要件やポイントをまとめました

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東京都創業助成事業は、
都内で創業を計画している、もしくは開業5年未満の法人/個人を対象に、1〜2年分の人件費、賃借料、広告費、備品などにかかる経費を、最大300万円助成してくれる東京都の制度です。

参考:TOKYO創業ステーション

TOKYO創業ステーションより抜粋


創業塾や補助金セミナーでお話をすると、反応が高いのが、今回ご紹介する『東京都創業助成事業』です。

基本的なことですが、応募した全員がこの助成金をもらえるわけではありません。
応募者のなかから、事業計画書に書かれた事業内容などが評価された、一部の創業者のみが受給できます。

一昨年までは45%ほどあった採択率も、昨年(29年度)は応募が増え、競争倍率が高くなった、というようなことを聞いています。

応募にあたっては概要を理解していただくことが先決ですから、当ブログから応募に係る要点を読み取っていただきたいと思います。

<2018.03.06に当記事を更新しました>

対象者

都内で創業を計画している人(創業予定者)、もしくは設立5年未満の法人/開業5年未満の個人事業主が対象となります。
※法人としては創業に該当しても、個人事業主として開業してから法人化しており、通算して5年以上経過している場合は対象外です。

経済産業省の創業補助金では、公募開始時点で創業していない人、という狭い要件となっていますが、東京都の創業助成事業では5年未満であれば応募対象となっている点が異なります。

応募時に必要な要件

対象者の条件を満たすだけでなく、応募時点で、以下の引用文にもある「認定特定創業支援事業の証明がある」、「都や都内区市町村の保証協会の保証付き制度融資を利用している」などのいずれかに該当していることが必要です。

認定特定創業支援事業を例にしますと、創業塾への参加や規定の回数の窓口相談、などによって、応募要件を満たす証明を受けることができます。

まずは、最寄りの市区町村で、どのような認定特定創業支援事業が行われているか、調べてみてください。

基本的な要件ですので、事前に必ずチェックしておくようにしてください。

次の1から16のいずれかの創業支援事業の利用状況に該当する個人、個人事業主 又は法人
ただし、以下の2点を全て満たすことも必要です。なお、「当年度」とは、申請時点の属する年の4月1日から翌年の3月31日を指します。
○ 各要件の判断時期は「申請書を受理する時点」
○ 1から16に関しては、助成金を申請する事業を実施するための、証明、入居、受講、審査、融資であること。
1 公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」という。)が実施する、TOKYO創業ステーション「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内にその証明を受けた者
2 公社(多摩支社)が実施する、「多摩ものづくり創業プログラム」を受講後、同支社実施の「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内にその証明を受けた者
3 公社が実施する、「事業可能性評価事業」において当年度及びその前年度以前の過去3か年度の期間内に「事業の可能性あり」と評価され、継続的支援を受けている者
4 公社が実施する、「進め! 若手商人育成事業」における「商店街開業プログラム (商店街起業促進サポート)」を当年度及び前年度以前の過去3か年度の期間内に受講修了した者
5 東京都又は公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」という。)が設置した創業支援施設に入居している又は以前に入居していた者
なお、該当施設は以下のとおり
○ 東京都の施設は、東京ライフサイエンスインキュベーションセンター、東京コンテンツインキュベーションセンター、青山スタートアップアクセラレーションセンター
○ 公社の施設は、ソーシャルインキュベーションオフィスSUMIDA、ベンチャーKANDA、タイム24、インキュベーションオフィスTAMA、白鬚西R&Dセンター
6 東京都インキュベーション施設運営計画認定事業において、認定後(新設施設は 運営開始後)6か月以上継続して入居し、申請する事業内容に関する個別具体的支援を、インキュベーションマネージャーから入居期間中に継続して受けている又は以前に受けていた者
7 独立行政法人中小企業基盤整備機構、区市町村、地方銀行、信用金庫、信用組合、 国公立大学又は私立大学が設置(左記以外の主体との共同設置は除く。)した都内所在の創業支援施設と1年間以上の賃貸借契約を締結して入居している又は過去3か年期間内に入居していた者
8 青山スタートアップアクセラレーションセンターにおいてアクセラレーションプログラムを受講している者又は以前に受講していた者
9 東京都が実施する「TOKYO STARTUP GATEWAY」において、前年度から起算して過去3か年度の期間内においてセミファイナリストまで進んだ者
10 東京都が実施する「女性・若者・シニア創業サポート事業」において、取扱金融機関から当該事業に係る融資を受け、その証明を受けた者(融資実行時点に定められた返済約定期間が申請時点を含んでおり、かつ、申請時点で繰上完済を行なった者を含む。)
11 東京都中小企業制度融資(創業融資)を利用している者(融資実行時点に定められた返済約定期間が申請時点を含んでおり、かつ、申請時点で繰上完済を行なった者を含む。)
12 都内区市町村が実施する中小企業制度融資のうち、創業者を対象とした東京信用保証協会の保証付き制度融資を利用している者(融資実行時点に定められた返済約定期間が申請時点を含んでおり、かつ、申請時点で繰上完済を行なった者を含む。)
13 東京都が出資するベンチャー企業向けファンドからの出資等を受けている者
14 政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)を利用している者
15 産業競争力強化法(平成25年法律第98号)第2条第23項に規定する認定特定創業支援事業により支援を受け、過去3か年の期間内に都内区市町村長の証明を受けた者
16 東京商工会議所、東京信用保証協会、東京都商工会連合会又は中小企業大学校東京校 BusiNestより認定特定創業支援事業に準ずる支援を受け、過去3か年の期間内にその証明を受けた者

対象となる事業内容

東京都における創業のモデルケースの発掘や事例の発信となるような「一定水準以上の事業計画」が評価されることとなります。

すでにありふれた事業の場合は、審査で点数が付きにくい可能性が高く、採択は難しいであろう、ということは最初にお伝えしておきます。

わかりやすい例で言うと、広く流通されているような商品を取り扱う小売業、他にもあるようなメニュー展開をする飲食店、などです。
小売業や飲食業が悪い、と否定しているつもりはまったくなく、都が目的とする創業のモデルケースの発掘、という評価軸では該当しない、、、ということです。

事業に対するビジョン、自社の強み、競合他店との差別化、自社の優位性、経済社会に与える効果など、を明確にアピールできるような事業であれば、採択される可能性は十分にあると思います。

助成額、助成率

助成率:2/3
助成額上限:300万円(下限:100万円)

助成額、助成率は以下の例のように計算されます。
平成29年度の場合、29年8月1日から、1年以上2年までの間(最長で31年7月31日)に使用した経費のうち、
助成対象となる経費を300万円使った場合は、×2/3=200万円が助成されます。
600万円使った場合は、×2/3=400万円となりますが、上限額の300万円が助成されます。

助成される経費項目

創業に係る経費だから、となんでもかんでも助成されるわけではありません。
助成される経費項目は、以下のように決まっています。

また、事業を開始して経費を使ってよいの期間のことを、助成事業期間と言います。
交付決定日(平成30年8月1日)から1年以上2年(平成32年7月31日)の間で、事業に必要な期間

気を付けていただきたいのは、人件費の雇用契約、賃借料の賃貸借契約を除き、助成事業期間になってから、契約・発注・支払いを行わなくてはなりません
30年8月1日以前に契約・発注をしてしまった経費の場合は、助成対象から外れます。

人件費

直接雇用契約を締結した従業員(パート・アルバイトを含む)に対する、期間中に支払う給与・賃金が対象になります。
※正社員の場合、月額35万円まで、パート・アルバイトの場合は、1日8000円までが経費の対象となります。

賃借料

事業遂行に必要な不動産(店舗・事務所・駐車場)の賃借料や共益費
事業遂行に必要な設備のリース・レンタル料

専門家謝金

創業期の事業遂行に必要な知見・対応方法等に関し、外部専門家等による助言を受ける際、手数料として支払われる経費

産業財産権出願・導入費

特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の出願、他の事業者からの譲渡又は実施許諾(ライセンス料を含む。)に要する経費

広告費

販路開拓のために必要な広告費用
ホームページ制作やチラシ制作、印刷、配布のための郵送費、展示会出展費用
試供品やサンプルなどの制作費用

備品費

創業期に必要な机、PC、コピー機等の器具備品の購入
※購入単価が税込50万円未満

過去の採択率

平成27年は90件、平成28年は100件が採択されています。
応募総数420件という情報がありますので、2年平均の採択率は45.2%となっています。

平成29年は2回の公募があり、1次公募では58件、2次公募では57件の採択が公表されています。

平成29年度の採択率の情報はありませんが、29年度は応募が増え競争倍率が高くなった、というようなことを聞いています。

申請に向けた準備や手順

①要件の確認

当ブログのほか、公募要領をご確認ください。
また、説明会も開催されますので、ご不明な点がありましたら、先に疑問を解消しておきましょう。

申請期間(第1回)

平成30年度第1回創業助成事業の申請受付期間は、
平成30年4月13日(金)~4月23日(月)です(期間中の消印有効)

申請期間(第2回)

平成30年度第2回創業助成事業の申請受付期間は、10月頃になる予定です。

②事業計画書の作成

まずは、計画書の様式を公社HPより入手してください。

Wordの申請書には、応募要件を埋める部分もありますが、もっとも重要なのは、(2)事業内容への記載となります。
また、Excelの申請書には、売上計画や経費の積算を書いていきます。

③提出書類の準備と提出

必要書類が揃っていないと、不採択となります。
確実にご準備ください。

④審査

採択に至るまでには、2回の審査があります。

1次審査として、書面審査があります。

1 形式審査(申請者及び申請内容が申請要件に適合しているか否か)
2 内容審査
以下の主な視点に基づき、総合的に審査します。
・内容の明確性
事業に活かせる自分の強みや事業で何を実現したいのか等
・マーケティングの有効性 ターゲットとする顧客や市場、商品・サービスとその提供方法等の販売戦略等
・事業の実現性
必要な経営資源の調達状況、助成対象期間中の商品・サービスの提供等
・申請経費の適格性
販売計画や経営収支と連動した経費であるか等
・助成事業としての適格性
助成金による効果(雇用、経済、社会)等

書面審査通過後に、2次審査として面接審査があります。

また、事業実施後、補助金入金の前にも、審査(書面審査)が入ります。
使った経費が適切で妥当なものかを確認した後、補助金が入金されることとなります。

5年間の報告義務

助成事業終了後5年間は書類を保存しておいたり、毎年の事業実施状況を報告しなければなりません。
また、引用文にもあるように、5年間は都内から転出することができないなどの要件もあります。

助成金をもらうだけではない制約があったりしますので、事前にご理解いただくことが必要となります。

収益納付

意外と知られていませんが、こうした補助金には『収益納付』という制度があります。
要するに、「事業が儲かってきたら、助成金の一部を返してね」ということです。

計算式の説明は省略しますが、「儲かる」とは、売上ではなく経常利益で判断されます。
儲かった分を役員報酬や給与に還元して、節税対策をして、それでも経常利益で毎年1千万も利益が出てしまうケースや、経常利益率がべらぼうに高いケースだけだと思っていただいて大丈夫だと思います。

仮に、年商1億、経費9000万円、経常利益1000万円/年、というような事業が5年続いたとしても、収益納付の額は30万円程度です。
助成金の満額を返すようなケースには、到底ならないと思います。
(※経常利益率10%の事業って、、、というツッコミはしないでください。)

ですから、収益納付の制度がある、ということは理解はしておいていただくとして、現時点ではあまり意識しなくてよいです。

助成事業の完了した年度の翌年度から5年間、助成事業に係る事業化の実施状況について、毎年報告書を提出しなければなりません。
また、この間に助成事業の事業化により相当の収益を得た場合並びに産業財産権の譲渡又は実施権の設定及び他への供与により収益が生じた場合には、その収益の一部を納付しなければなりません。

その他事業に対する要件

1 公社・国・都道府県・区市町村等から同一趣旨の助成を受けていないこと
2 本助成事業に採択され助成金を受給した者による、再度の申請でないこと。(ただし、辞退等により受給に至らない場合は、他の要件を満たすときに限定し、再度の申請が可能[1回のみ])
3 公社が実施する他の助成事業に併願申請していないこと
4 個人事業主(事業税非課税)、創業前の個人は、住民税の滞納がないこと
5 個人事業主(事業税課税)は、個人事業税及び住民税の滞納がないこと
6 法人は、法人事業税及び法人住民税の滞納がないこと
7 都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていないこと
8 公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受け、不正等の事故を起こしてい ないこと
9 公社から助成金の交付を受け、「企業化状況報告書」、「実施結果状況報告書」等 を所定の期日までに提出していること
10 東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者又は遊興娯楽業のうち風俗関連 業、ギャンブル業、賭博等、公社が公的資金の助成先として、社会通念上適切 ではないと判断するものではないこと

ご相談はお気軽にどうぞ

300万円という金額は比較的大きいですし、事業を軌道に乗せるための人件費や広報費が助成されるため、とても使い勝手のよい助成金です。
創業5年未満、ということで間口が広いので、対象となる事業者は多いため、昨年から応募する事業者も増えてきたようです。

創業補助金に関しては、過去50件近い採択を支援してきました。当助成事業の申請支援でも採択された実績がありますので、申請にご興味がありましたら以下よりお問い合わせください。

     

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