【まとめ】最初に知っておきたい補助金制度の基本



事業拡大のための新しい取り組みを始めたい、
設備投資を行いたい、
業績改善を図りたい、

・・・でも、肝心の資金に余裕がない

という切実なお悩み解決の一助として役立つのが、
国(各省庁)、都道府県や市区町村などの自治体で
予算化して動いている「補助金」制度である。

補助金制度は、
特定の目的を達成させるための施策テーマに取り組む事業者に対して、
事業にかかった一部の額を、(融資とは異なる)返済不要のお金を交付する制度である。

実質的に負担する自己資金が少なくなるメリットがあるため、
活用しない手はないだろう。

一方で、すべての事業者が使える制度ではなく、
またいつでも使える制度ではないため、
今回は「補助金」の基礎知識や概要をお伝えしていく。

補助金申請から補助金が入金されるまで

まずは補助金申請から補助金が入金されるまでの
全体の流れをご理解いただきたい。

一般的に、補助金制度は、
期日までに指定された書類を準備して応募し、
審査を通過することが必要である。

※審査に通過することを「採択」や「交付決定」という表現が使われる。

そして、事業実施期間中に対象となる事業を遂行し、
報告をもとに再び審査がされた後に補助金額が確定し、
最終的に補助金が入金される流れとなる。

補助金制度で抑えておくポイント

次に、一般的な補助金の制度概要について説明をしていく。

ポイント1:補助率と補助上限額を抑える

補助される金額は数万円から1億円のような規模まで、
制度によって大小様々であるが、
大半は上限額が決まっている。(下限額が設定されている制度もある。)

また、使用した経費のすべてが補助されると補助率は100%であるが、
補助率を2/3や1/2と設定している制度が一般的である。

例えば、補助率2/3、補助上限1000万円の制度で、
3000万の経費を使用する予定の場合、
補助率をかけ合わせると補助金額は2000万円と算出できるが、
上限設定が適用されるため補助金額は、1000万円となる。

同じ条件で、1200万円の経費を使用する場合では、
補助率2/3をかけ合わせた800万円が補助金額となる。

 

ポイント2:補助される項目(補助対象経費)が決まっている

補助される経費項目のことを補助対象経費という。

事業で必要となる設備の購入・リース・レンタル費用や
人件費、外注費、材料費、広告費、賃借料などである。

ただし、設備が対象になる補助金であっても、
パソコンや複合機のような汎用的な経費は対象にならないことが多い。

制度によって、対象となる経費項目がまったく異なるため、
事前に確認をしておくことが必要である。

 

ポイント3:補助される期間(補助事業期間)も指定されている

補助金制度では、採択される前に発注・納品・支払いをしてしまった経費は
補助金の対象にならないことが多い。

原則、交付決定後の補助事業期間と呼ばれる
経費として認められる期間内に使用した経費のみが対象になる。

事業展開のスケジュールを検討し、
補助金スケジュールと合致していることを確認していただきたい。

 

代表的な補助金制度

補助金制度のテーマ例としては、
☑ 採用・雇用
☑ 労働環境改善
☑ 製品開発
☑ 設備投資
☑ 販路開拓
☑ IT
☑ 知的財産
☑ インバウンド対策
☑ 海外展開
☑ 環境・エネルギー
☑ 創業
☑ 事業承継
などのテーマがあり、
それぞれ定められた要件にあう事業者を公募することになっている。

ここでは、平成30年に全国的に公募された補助金制度を4つ紹介する。

①事業承継補助金

経営者の高齢化が進むと、
中小企業の多くは後継者がいなかったり、引き継ぎが難航したり、
その結果として、廃業を選択せざるをえない企業も増えている。

そのため、事業承継は、日本社会の喫緊の課題であると認識されており、
様々な事業承継施策が用意されている。

そのうちの1つが事業承継補助金である。

次年度以降も事業承継施策は、補助金制度だけに限らず
手厚い支援を行うことが見込まれている。

 

事業承継補助金では、事業承継に伴い実施する事業のためにかかる
人件費、設備費、外注・委託費、広報費などが補助される制度である。

平成27年4月以降に事業承継を行った、
もしくは今後行う予定の事業者が応募対象となっているため、
該当する場合には、承継の準備と並行して補助金の活用をオススメする。

事業承継補助金は以下のⅠ型と呼ばれる経営者交代タイプと、Ⅱ型と呼ばれるM&Aタイプがある。

事業承継補助金Ⅰ型(経営者交代タイプ)

代表者の交代を行う予定、又は行った事業者が、
経営革新や事業転換などの新たな取組みを行う経費の一部を補助する制度で、
補助率1/2〜2/3の範囲内で150万円〜200万円が補助される。

また、事業所の廃止や既存事業の廃業などを伴う場合、
廃業登記費、在庫処分費、解体費・処分費、原状回復費などの費用も含め、
最大500万円までが補助される。

予算大幅増!事業承継補助金(後継者承継支援型~経営者交代タイプ)の公募が開始[平成29年度補正予算]
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平成30年は公募が3回あり、計829件の申請件数に対し、
653件の採択、採択率は78.8%となった。

事業承継補助金Ⅱ型(M&Aタイプ)

事業譲渡や株式譲渡・株式移転などにより事業を引き継ぐ予定
又は引き継いだ事業者が対象となる制度である。

補助率および対象となる経費はⅠ型と同じであるが、
補助金額上限が450万円〜600万円、
廃業などを伴う場合の費用を含めると最大で1200万円までが補助される。

M&Aタイプ(Ⅱ型)をサクッと解説![平成29年度補正予算事業承継補助金]
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平成30年は公募が2回あり、263件の申請件数に対して
144件の採択、採択率は54.8%となっている。

事務局HP

事業承継補助金(平成29年度補正)
平成29年度補正予算「事業承継補助金」のポータルサイトです。本事業は事業再編、事業統合を含む経営者の交代を契機として経営革新等を行う事業者に対して、その取り組みに要する経費の一部を補助する制度です。

②ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金 ※略称:ものづくり補助金

生産性向上に資する革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行うための
設備投資や技術導入、知財関連経費などが補助される制度である。

革新的サービスとは、業界・競合他社において
一般的ではない技術やアイデアを用いたサービスを指す。

例えば、最先端の設備を導入して新しいサービスの開発に着手したり、
産業用ドローンやロボット、IoT機器のような
先端設備を活用した設備管理システムを開発したりすることで、
高付加価値サービスの創造や業務効率による競争力強化を図る事業などが対象となる。

補助率1/2〜2/3、補助金額上限が500万円〜1000万円となっている。

ものづくり補助金は、過去6年間で延べ15.5万社が申請し、
約5.7万社が採択を受けてきた人気のある補助金である。

平成30年は公募が2回あり、23,467件の申請件数に対して
11,914件の採択、採択率は50.8%となっている。

[一覧]ものづくり補助金の採択件数・採択率
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③サービス等生産性向上IT導入支援事業 ※略称:IT導入補助金

Webサイトでの宣伝、予約管理などのフロント業務、
顧客管理や従業員管理などのミドル業務、
人事給与、財務管理、資産管理などのバックオフィス業務など、
事業を運営、会社を経営する上で、IT化を図るべきポイントは多いであろう。

IT導入補助金では、ソフトウェアやWebサービス等のITツールの導入によって
生産性の向上、業務効率の改善を図る事業者に対して、
ITツール導入費用の一部を補助する制度である。

補助率1/2、補助上限額が50万円となっている。

【まとめ】どんなシステム・サービス・ツールが対象になるの?IT導入補助金(2018年)の要件
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平成30年は公募が3回あり、執筆時点で約37,000社が採択されている。
現在申請中・審査待ちの分を含めると、計5〜6万社が採択されるものと思われる。

事務局HP

トップページ | IT導入補助金
平成29年度補正予算「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」のポータルサイトです。本事業は、ITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入しようとする事業者に対して、ITツール導入費用の一部を補助する制度です。

④小規模事業者持続化補助金

小規模事業者(※)が行う販路開拓の取り組みに対して、
HP制作やチラシ制作・配布、広告などの販促費や
展示会出展、設備導入、などの費用を補助する制度である。

(※小規模事業者:常時使用する従業員数が、
 卸売・小売・サービス業などは5人以下、製造業などは20人以下が該当する)

補助率は2/3で、補助上限額は50〜100万円である。

【特集】小規模事業者持続化補助金の申請に関する記事をまとめました(平成29年度補正予算対応)
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採択率&都道府県別の採択者数を集計してみた[平成29年度補正予算 小規模事業者持続化補助金]
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また、平成30年度は、
災害(豪雨や地震)により被災した地域を対象にした公募も行われた。

事務局HP

平成29年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 :: トップページ

補助金制度のデメリット

補助金制度は、資金的なメリットが大きい、
という点は理解していただけたであろう。

反対に、補助金制度のデメリットとして、
申請をしても不採択になること、
申請準備や報告手続きの手間と労力がかかることをお伝えしておく。

デメリット1:採択されない可能性がある

お金が交付される補助金制度は、
ビジネスチャンスと捉えた事業者からの応募が殺到することが多い。

補助金を獲得するには、先着順や抽選制で採択されるわけではなく、
数ある応募者のなかから最初の審査に通過すること
(採択・交付決定を受けること)が第一関門となる。
面接審査や書面審査で評価されるため、
応募したものの、不採択になってしまう事業者が出てきてしまう。

補助金制度の採択率に関しては、
制度によって、また年度によって、予算や要件、申請者数が異なるため、
一概には採択されやすい/されにくい、といった表現はできない。

5%程度になることもあれば、80%を超えるような制度もある。
採択率の予測も蓋を開けてみないことにはわからない。

補助金制度によっては、
採択事業者や事業テーマ、過去の申請者数と採択者数を公表している制度があるので、
インターネット等で検索していただきたい。

特に事業計画書の内容が評価対象となることが多く、
補助金審査では、この事業計画書の出来にかかっている、と言っても過言ではない。

申請準備に不安を感じている場合は、
採択されるためのポイントを理解している専門家
(認定経営革新等支援機関など)に相談してみるとよいだろう。

ぶっちゃけ!?補助金申請で専門家に頼むといくらかかるの?
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デメリット2:すぐに資金繰りが改善するわけではない

事業拡大などにより売上利益の向上が伴うと、資金繰りの改善が見込めるが、
補助金額は経費の一部が補助されるため、
補助金だけで資金繰りが改善されるわけではない。

また、補助金は先払いではなく、
後払いになることは予め理解しておく必要がある。

実際に補助金申請の準備にとりかかってから
実際に補助金が入金されるまで1年先になることも往々にしてある。

そのため、補助金は近々の資金繰りのあてにはならず、
当面の経費を捻出するだけの資金が手元にないようであるならば、
先に融資などで資金を工面しておくことも必要になる。

 

デメリット3:準備や報告手続きの手間と労力がかかる

公募が開始されてから申請締切まで2カ月前後しかないことが多く、
事業計画の検討なども含めて考えると、
思いつきから数時間や数日で準備できるものではないことをご理解いただきたい。

なにより、本業をしながら、補助金の事務作業などに時間を割くことになるため、
時間的にも肉体的にも苦労される事業者が多い。

さらに補助金制度によっては、
事業終了後5年間、毎年の事業報告を義務付けている制度もある。

 


補助金制度は、返済不要のお金が交付されることに魅力を感じる反面、
前述のとおり、申請の難しさや作業の大変さでマイナスなイメージを感じるかもしれない。

しかし、申請書準備などの手続きや事業計画を作り上げていく作業自体、
自らの事業を見つめ直すきっかけとなり、
企業として未来を生き抜くために決して無駄な行動にはならない。

経営力強化、生産性向上、業務改善、社内活性、新事業展開などの実現に向けて、
ぜひ補助金制度の活用を検討いただきたい。


自社に合う補助金制度の見つけ方

補助金制度は、全国的に公募するものから、
地方自治体レベルで公募するものまで全国で2000〜3000あると言われていて、
ここですべてをお伝えすることは不可能である。

基本的に補助金は年度の予算で動いており、
当年度の本予算と、前年度の予算の過不足に対応するために組まれる補正予算とに割り振られる。

したがって、補助金の募集時期は
年始1月頃から年度末や4月以降の年度はじめに公募されることが多く、
反対に、夏や秋には新たな公募が少ない。

以下に紹介しきれない補助金制度に関しては、
●ミラサポ

ミラサポ 未来の企業★応援サイト
ミラサポは、公的機関の支援情報・支援施策(補助金・助成金など)の情報提供や、経営の悩みに対する先輩経営者や専門家との情報交換の場を提供する、中小企業・小規模事業者の未来を支援するサイトです。

●J-net21

J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
中小企業のビジネスを支援するポータルサイト。中小企業向け公的資金・支援情報を毎日更新。2,000件以上の企業事例、700件以上のQ&Aで経営課題を瞬時に解決

のようなインターネット上で条件検索できるサイトや、

最寄りの金融機関、商工会・商工会議所などの支援機関で得られる情報、
経営者クラブなどの情報交換の場、などで、
アンテナを高く張って情報を得ていくことを心がけてもらいたい。

 

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